「旧姓ってただのお飾りなんだな」留学先で思い知って… 夫婦別姓の実現を訴えるデザイナー

石川修巳 (2021年1月21日付 東京新聞朝刊)
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結婚後の戸籍姓と旧姓を巡って苦労した経験を語る岡田恵利子さん=幸区で

 結婚する時に改姓する、しないを選べる「選択的夫婦別姓」の実現に向けて、川崎市内の女性デザイナーがSNSなどを通じて協力を呼びかけている。結婚後の戸籍名と旧姓を巡って苦労した自らの経験とともに、多様なエピソードを募って、法制化への推進力にしたいと願っている。 

うまく使い分けているつもりだった

 夫婦で別姓も選択できる制度の法制化を目指し、活動を始めたのは川崎市幸区の岡田恵利子さん(38)。「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の川崎支部として、川崎市議会に対し、国会を動かすための意見書提出を働きかけたいという。

 2008年に結婚し、当時は「当たり前のように改姓を受け入れていた」と岡田さん。結婚前から続けている仕事やデザインの研究は、連続性を考えて旧姓を使い、グッドデザイン賞なども旧姓で受賞した。

 一方、子育ての付き合いは戸籍姓にするなど、「うまく使い分けているつもりだった」と語る。

「結局、あなたの名前は何なの?」

 壁にぶつかったのは、視野を広げるために訪れた海外留学先。昨年3月まで半年間留学したデンマークの大学院でも、旧姓で研究できるように希望したが、かなわなかったという。「戸籍姓だけだと、私の研究領域では誰も私を私と認識できないのに」

 繰り返し交渉して、学生証は戸籍姓の後に旧姓を添える形で再発行してもらった。担当教授からは「結局、あなたの名前は何なの?」と問われたという。

 岡田さんは「これが一番こたえました。海外に出て初めて、旧姓ってただのお飾りなんだなと思い知らされた」と振り返る。

横浜、大和市議会などで意見書可決

 デンマークは、旧姓も改姓も選べる仕組みだった。実は、法務省の国会答弁によると、夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけとされる。

 全国陳情アクションの調べでは、神奈川県内で県議会や横浜、大和、鎌倉、座間の各市議会が、夫婦別姓を巡る議論や別姓制度の導入を求める意見書を既に可決しているという。

 岡田さんは「小学1年の長女が将来、同じ苦労をしないように、多様な選択肢があってほしい。その願いが私の原動力です」と話している。

 問い合わせは、選択的夫婦別姓・全国陳情アクション川崎支部の電子メール(bessei@niacari.jp)で受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年1月21日

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