タレント 須田亜香里さん 自分を追い込んだアイドル時代、父に突然「自分のこと好きか?」と聞かれて

大森雅弥 (2025年2月9日付 東京新聞朝刊)

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須田亜香里さん(木口慎子撮影)

各界で活躍する著名人がご家族との思い出深いエピーソードを語るコーナーです。

負けず嫌い、運動神経は父譲り

 自分の特徴って何だろうと考えると、目立ちたがりなところも負けず嫌いも運動神経までも、みんな父譲りなんです。頑固なところも多分。

 父は本当に頑張る人。ずっと野球を続け、小学校から大学まではどのチームでも主将を務めました。一方で勉強もできて国立大学に進んだ。でも、何でもこなせたというタイプではなく、粘り強く努力を惜しまなかったから達成できたんですね。

 私もアイドル時代、自分より売れている人がなぜ人気なのかを分析し、それを全部自分のものにしようと努力しました。やれることは何でもやるというのは父に似ていると思います。

 頑張ったんだから前に出たい。目立ちたいのはそういう理由です。もっとも父は人と違った格好をしようと、学生時代にパーマをかけてアフロみたいな頭をしていたこともあったそうです。

 もちろん似ていないところも多く、私は思ったことをすぐ口にしてしまうタイプですが、父は口数が少ない。運動をやり続けてきた人だからアドバイスの言葉も短く、いつも「コツコツやりなさい」「ストレッチしているか」。

 自分の考えをちゃんと伝えるためにはどんな言葉を選んだらいいか、時間をかけて練るところもある。だから、ここぞというときに心に響く言葉もくれます。

結婚はまだ、夢はアクション

 アイドルをやっていて自分を追い込んでしまっていた時期、父が急に「自分のこと好きか?」と聞いてきました。「好きじゃない。嫌い」と答えたら「俺は自分のこと好きだよ」って。そう思えるようになるといいなという気持ちが伝わってきました。そして「夢は明日変わってもいいんだ」と。夢を見失っていたので、心に染みました。

 そういう父と、食べ物でも私が好きだと言えば全部譲ってくれるぐらい家族のために尽くす母。そんな家庭で、やりたいことは何でもやらせてもらってきました。

 でも、自分もそういう家庭を築きたいというのはないんです。両親が私にしてくれたようなことをやれる自信がありません。自分は甘やかされ過ぎた気もしていて、甘やかすことと愛することのあんばいが分からない。何よりも結婚しないと得られない何かが見つけられていなくて。ファンの方は早くいい人見つけてねと言ってくれるんですが。

 それよりも今は夢があるんです。一つはアクション。父譲りの丈夫な体と運動神経を生かしたい。もう一つは、お芝居やセリフのないパフォーマンスにも挑戦したいですね。アイドル時代に多くの人と関わり、気持ちをくみ取ることを学びました。それで得られたものは大きかったのですが、こびない、しゃべり過ぎないことこそが自分らしいかなと。これも父に倣って。

須田亜香里(すだ・あかり)

 1991年、愛知県出身。2009年にアイドルグループ「SKE48」に加入し、18年の「AKB48世界選抜総選挙」で2位になるなど活躍した。22年にグループを卒業し、タレントとして活動。中日新聞の地方版で連載中のエッセーをまとめたものなど著書は3冊。今月19日には「須田亜香里写真集 pluie」(講談社)が発売される。

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  • naga says:

    須田さんの生き方に憧れます。そして、その須田さんを育てられたご両親には、常々深く敬意持っておりました。

    その一端が伺える記事で、嬉しかったです(^^)また、須田さんを深掘りしてください(^^)/

    naga 男性 50代

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