【税理士が解説】孫の教育費や生活費を支援すると贈与税はかかりますか?

古根村進然 (2025年12月25日付 東京新聞朝刊)

図:プロに聞く くらしとお金の相談室

大学進学を控える孫がいる女性から、孫を支援するために使ったお金は贈与税に該当するか、という相談が寄せられました。専門家の解説やアドバイスを紹介し、読者の疑問をひもときます。

Q.教育費の支援、生活費の仕送りを検討しています

 私は72歳で、静岡県に住んでおり、来春、大学進学を控える孫がおります。教育費の支援を考えていて、生活費の仕送りも検討していますが、贈与税に該当するのでしょうか。関連する税の仕組みなどを知りたいです。 

回答者:税理士・中山人支さん

写真:中川人支さん

 岐阜県瑞浪市の中山建一税理士事務所所属。2019年に名古屋税理士会(名古屋市)に税理士登録。同会広報部員。

A.通常必要と認められる範囲なら非課税です

 まずは贈与について押さえましょう。贈与とは、贈与者(あげる人)が、財産を無償で受贈者(もらう人)に贈るという意思を表示し、受贈者が承諾することで成立する契約の一種。口頭でも認められています。

 無償で財産を譲り受けた場合には、贈与税の課税の対象になります。課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。

 暦年課税について、受贈者1人につき毎年110万円の基礎控除があり、110万円以内の贈与なら税務署への申告や納税が不要となります。ただし、複数の人から贈与を受けた場合、1年間に譲り受けた財産の合計額が110万円を超えるなら申告と納税が必要です。

 また、「生前贈与加算」には注意が必要です。2023年度の税制改正で、暦年贈与をした場合、相続開始前の7年以内に贈与した分について、相続財産の一部とみなされ、相続税の対象となります。

 2023年以前の贈与は3年以内の贈与分が対象となっており、贈与者の相続開始日などで相続税の加算対象期間が異なります。相続や遺贈によって財産を得た人や、生命保険の死亡保険金や死亡退職金といった「みなし相続財産」を取得した人が対象です。

図表 孫への教育費支援の主な例

 次に、相続時精算課税です。60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へ、財産を贈与する場合に選択できる制度です。贈与者1人につき、贈与額が累計で2500万円まで非課税となる特別控除があります。

 贈与者が亡くなった際には、贈与額を相続財産に加えて相続税を納めます。特別控除以外に年間110万円の基礎控除があり、この額以内の贈与は贈与税が課税されず、相続税の計算にも含まれません。

 この制度を選んだ場合には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに受贈者が税務署に「相続時精算課税選択届出書」を出す必要があります。

 暦年課税と相続時精算課税制度は併用できず、相続時精算課税を一度選択すると変更できないので、専門家に相談しながら慎重に判断してください。

 このほか、財産の性質や贈与の目的などを踏まえて贈与税がかからないものがあります。祖父母や父母ら「扶養義務者」が通常必要と認められる教育費を支払う場合、贈与税はかかりません。教育費には入学金や授業料など学費のほか、教材費や文具費を含みます。

 生活費も同様に課税されません。日常生活を送るのに必要な費用が該当し、治療費や養育費、子育てに関する費用も対象となります。香典や年末年始の贈答、見舞いなどのための金品にも贈与税はかかりません。

 いずれの場合も贈与者の経済力などを考慮し、社会通念上適当と認められる範囲とされています。要するに、教育費や生活費として必要な場合に、直接これらに使うためのものに限られます。仮に教育費や生活費の名目で贈与を受けたとしても、預金したり、株式や不動産の買い入れ資金に充てたりすると贈与税がかかるケースがあります。

教育資金限定で1500万円まで非課税の一括贈与制度も

 父母や祖父母が子や孫に教育資金を一括して渡す際に、30歳未満の受贈者1人当たり1500万円まで贈与税が非課税となる措置もある。2013年4月1日から2026年3月31日までの贈与が対象だ。

 教育資金には入学金や授業料、学用品の購入費、修学旅行費、塾代、スポーツや文化芸術の活動も含まれる。金融機関で子や孫ら受贈者名義の教育資金口座を開設し、「教育資金非課税申告書」を提出する。資金を使う際には金融機関に教育資金の領収書を出して払い出しを受ける。贈与者が亡くなった際は、受贈者が23歳未満であれば原則、相続税がかからず利用できる。

 文部科学省によると、2013年の制度開始から2025年3月末までの累計の契約件数は約27万5000件で、贈与額は約2兆1000億円。新規契約件数は2013年度が約6万7000件で、現在は毎年度7000件程度で推移する。中山さんは「利用希望者は、措置が2026年4月以降も延長されるかどうか、注視してほしい」と話す。 

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