結婚記念日に「2回目は絶対しない」と妻に言われて〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉
「あっ今日、結婚記念日だ」と妻が言った。そういえば、結婚記念日だった。「15年目に入りました」と妻が言った。もう15年目だった。
「パパとママもう1回結婚するの? やっばー」。横で話を聞いていた三男が、面白い勘違いをしたので笑っていると、「しないしない2回目は絶対しない」と妻が全力で否定した。
「それでも一度は結婚してくれた」と前向きに捉えてみたけど、自分でも意外と言われたことを引きずっていたのか、その日、ずいぶん前から頼まれていた妻の自転車の修理をすることにした。
早速、チューブとタイヤを買いにホームセンターに行き、帰ってきても休憩もとらず作業にかかった。いつになく迅速である。
小学校の時に、友達の間で自転車の改造がはやったので、なんとなくやり方はわかってるつもりだったが、今の電動自転車は、昔の自転車と勝手が違い苦労した。
しかし、途中で投げ出しては「二度は結婚したくないやつ」の評価は変わらない。夕方、やっとのことで修理を完成させ、妻の元に走った。
「修理できたから早く見にきて」と言うと、「今、忙しいの。揚げ物してるの。わかる?」と妻。はやる気持ちを抑え、妻がくるのを待って、ピカピカの新しいタイヤを見せた。
妻は「すごい! ありがとう」とは言わず、「やりきった自分に満足してるの?」と聞いてきた。15年の月日の積み重ねを感じた。
結婚3年目で生まれた長男の体重が、今月、僕の体重を超えた。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。12歳、9歳、5歳、2歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
配偶者の方の反応がよく理解できて笑える!
うちの夫も、ひとつ家事をするとアピールします。「お風呂入れるよ」ボタン押すだけやん。「ゴミ出してくる」言われなくてもやってね。
加瀬お父さん、これからも、もっとがんばってね。