「子どもが自由に遊べる場を」 感染対策との両立のヒントは コロナ禍が続いた2021年を振り返る

(2021年12月25日付 東京新聞朝刊)
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杉並区の柏の宮公園で開催されたプレーパーク。スタッフがハンモックを揺らすと子どもたちが歓声を上げた

 2021年もコロナ禍で、マスク着用や、体が接触するような活動ができないなど、子どもたちには窮屈な状況が続きました。そんな中、杉並区のプレーパーク「杉並冒険遊び場 のびっぱひろっぱ」は、子どもが自由に遊び、好奇心の赴くまま挑戦できる環境を守ろうと努めてきました。感染対策と「遊び」はどう両立するのか、現地を訪れヒントを探りました。

泥遊び、たき火、ハンモック…「学校や家ではできない」

 「わあ~たき火だ」「ハンモックやりたい!」。歓声を上げて走り回る子や、恐る恐るたき火に木をくべる子、かなづちを持って木で何かを作る子―。12月中旬、杉並区の柏の宮公園の一角で開催されたプレーパークでは子どもたちが初冬の週末のひとときを満喫していた。

 「自分の責任で自由に遊ぶ」がモットーのプレーパークでは、たき火や泥遊び、工作、木にくくり付けられたブランコやハンモックなどのロープ遊具ができる。参加は無料で、「プレーリーダー」と呼ばれるスタッフが常駐して見守る。

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興味津々な様子でたき火に木をくべる子

 杉並区の小学2年村田大河君(7つ)はたき火のそばへ。「あったか~い」と言いながら、火をのぞいたり、木をくべたりしていた。「学校や家ではできないことができるから好き」という。

 工作コーナーでは7歳と4歳の姉妹がのこぎりやかなづちを持ち、黙々と木で何かを作っていた。途中、くぎを持つ指を軽く打って手を引っ込める場面もあったが、姉は「のこぎりやかなづちが使えてうれしい」と笑顔を見せた。

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工作コーナーで、かなづちを持ち工作に取り組む子

窮屈な状態の子どもたち エネルギーを発散できるように

 「新型コロナウイルス対策で、学校でも黙食やマスク着用などで、子どもたちは窮屈な状態。ここでは、エネルギーを発散できるようにと心掛けています」。運営するNPO法人杉並冒険あそびの会副代表理事で、プレーリーダーの丹羽史泰さん(54)が話す。

 プレーパークは新型コロナ感染拡大を受け、2020年4~6月は休止したが、屋外という利点も生かし、感染対策をしながらできるだけ以前と変わらない形で再開した。

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泥遊びもやり放題。土を掘り、水を流して遊ぶ子

「あれもダメ、これもダメとは言わない。経験で知って」

 遊ぶ前の検温や消毒はもちろん、小学生以上の子にはマスク着用をお願いし、小まめに手洗いするよう声かけもする。子どもが密集しがちなたき火にはより注意を払い、焼き芋や焼きマシュマロなどの調理は中止した。スタッフが様子を見て、距離を取るよう声をかける時もある。

 「あれもダメ、これもダメとは言わない。安全でないものがあることも経験で知ってほしい」と丹羽さん。工作もプロセスが大事で、完成は求めないという。

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ブイを木からつるしたロープ遊具で遊ぶ子どもたち

大人に必要な視点は? 面白がって一緒にやってみること

 親子の時間が増える年末年始。20年以上、プレーパークで子どもに接してきた丹羽さんは「子どもの世界に大人が入り込んで」と勧める。

 コロナ禍で制限された遊びもあるが、大掃除や、おせちづくりも、親子で一緒にやれば子どもにとって遊びの1つになるかもしれない。「これは子どもの遊び、これは大人がやること、と決め付けずに面白がってやってみる視点が大人に必要。完成形や完璧を求めず、途中のプロセスを楽しんで」と話した。

 杉並区では和田堀公園でも「和田堀プレーパーク」が開催されています。12月中旬、こちらでも、子どもたちはたき火や工作、ブランコで楽しそうに遊んでいました。

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杉並区の和田堀公園で開催されたプレーパークで、恐る恐るたき火に木をくべる子

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ロープで木にくくりつけられたブランコで遊ぶきょうだい

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父親に支えてもらいながら緊張した表情でかなづちを持つ子

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  • 匿名 says:

    コロナ禍の中でだれもが大変なおもいをしている、とりわけ子どもたちは我慢の連続、なんとしてもこのような場所が欲しい、燃え盛る竈門に枝を入れる、葉っぱを入れる、変わりゆくさまが面白い!寒い北風の中、暖をとりたいと大人は囲みがち、一歩譲って、面白がる姿を見ているのもあったかいでしょうね。

     女性 70代以上
  • 匿名 says:

    子どもたちと、見守る大人の関わり、いい記事

     男性 70代以上

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