年末年始の当直 カップラーメンは伸びきって…〈森戸やすみのメディカル・トーク〉
私が大学病院で研修医をしていたとき、年末年始の当直は、あみだくじで決まりました。通常より1人多い当直医3人と、受け持ちの患者さんの容体が思わしくないグループの小児科医たちが病院にいました。
いつもは当直の先輩が夜ご飯代を出してくれるのですが、この期間は医局持ち。夕食に普段はないピザを取ってくれたり、カップラーメンなどを買い置きしてくれたりしました。
年末年始の救急外来は患者さんの長蛇の列ができます。入院が必要な子がいたり、産婦人科病棟で生まれた子の具合が悪かったり、小児科入院中の患者さんの定時の処置だったりで呼ばれ、カップラーメンは伸びきっていたと思います。
けいれんで運ばれる子がいると緊張が走ります。冬はインフルエンザ脳症の子が時折いましたし、細菌性髄膜炎でも必ず数人が入院してきました。まだヒブ(インフルエンザ菌b型)ワクチンと肺炎球菌ワクチンが日本になかったのです。
米国では、トランプ次期政権の厚生長官にワクチンに懐疑的なR・ケネディ・ジュニア氏が指名されました。医学的に否定されているワクチンと自閉症の関連性を主張し、医療関係者から懸念の声が出ています。
保健行政が混乱し、万が一、一部のワクチン接種が従来通り受けられないとなれば、先進国では目にすることのなくなった感染症が再流行しかねません。重大な被害が出ないと感染症の怖さ、ワクチンの効果がわからないなら、何のための医療の進歩かと残念です。
森戸やすみ(もりと・やすみ)
小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)勤務などを経験。「子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版社)、共著に「やさしい予防接種BOOK」(同)など、医療と育児をつなぐ著書多数。「祖父母手帳」(日本文芸社)も監修。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝えます。
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