チャイルドシート、半数以上が取り付けミス…しっかり固定するコツは?

(2016年12月9日付 東京新聞朝刊)
 道路交通法で6歳未満の乳幼児に着用が義務付けられている車のチャイルドシート。でも、間違った取り付け方をしている場合も多く、事故で子どもの安全を守れない恐れがある。車で遠出する機会が増える年末年始を前に、改めて正しい方法を確認しておこう。
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チャイルドシートの取り付け状態を点検する王賀通浩さん=愛知県刈谷市で

説明書を見ながら取り付けても「甘い」

 伊勢湾岸道のパーキングエリア「刈谷ハイウェイオアシス」(愛知県刈谷市)で、12月初旬にあった日本自動車連盟(JAF)愛知支部によるチャイルドシート点検。同県高浜市の会社員石田大士さん(38)は、長女の奏ちゃん(1つ)と参加した。「説明書を見ながら取り付けたけど、正しくできているか自信がなくて」

 奏ちゃんのチャイルドシートは、後部座席にきちんと固定されているようにも見えるが、両手で前後左右に揺すると大きくぐらついた。「ここがたるんでいると、取り付けが甘い証拠です」。JAF認定指導員の王賀通浩さん(56)が、シートベルトを引っ張ってアドバイスした。

コツは「座席との間に隙間を作らない」

 警察庁とJAFが昨年、乳児用と幼児用のチャイルドシート計415台を調べたところ、半数以上の226台で取り付けミスがあり、ミスの約八割が腰ベルト締め付け不足だった。チャイルドシートを座席に固定するシートベルトが緩いままだと、車が衝撃を受けた際にシートごと飛び出し、子どもが全身をぶつけるなど命にかかわる危険がある。

図解 チャイルドシートをしっかり取り付けるこつ

 王賀さんによると、腰ベルトをたるませないこつは、取り付け時にチャイルドシートと座席との間に隙間を作らないこと。シートの座面に膝を乗せて体重をかけ、座席に沈み込ませた状態でシートベルトを巻き付けると、ピンと張るという。2人1組でやると体重をかけながら巻き付けるのも簡単だ。座席を少しリクライニングさせた状態でシートを載せ、取り付け後に元に戻すと、より隙間が埋まるという。

 チャイルドシートの前部に脚があり、車の床に接地して安定させる製品もあるが、高さが合わないとシートが座席から浮き上がるため、事故時に逆効果になる場合がある。

きつさの基準は「大人の指が2本入るくらい」

 一方、子どもをチャイルドシートに正しく座らせているかも調査したところ、チャイルドシート付属のハーネス(安全ベルト)の高さと締め付け具合でミスが目立った。

 体重10キロぐらいまでの乳児は、後ろ向きでシートを設置するため、追突時に体が浮き上がらないように、安全ベルトは肩より低い位置にする。逆に、前向きのシートに乗る幼児(約10~18キロ)は安全ベルトがずり落ちないように肩の上から通すのが基本だ。

 いずれも、大人の指2本が入るぐらいのきつさで締め付けると安全だという。「窮屈になりすぎないよう、体の成長に応じても高さを調節してほしい」と王賀さんは話す。

 販売店などの多くは、取り付けサービスをしていない。一方で、自分で正確に取り付けるのが難しいと感じている利用者も多く、JAFでは会員向けに無料の点検や講習会を定期的に全国各地で開いている。

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