現代美術家と一緒に創作できるアトリエ 田町で評判「しゅんさくの部屋」 子どもの個性をありのままに

市川千晴 (2019年12月16日付 東京新聞朝刊)
 東京都港区のJR田町駅近くのビル1階に、現代美術家のしゅんさくさんが主宰する「旅するアトリエ。みんな大好きしゅんさくの部屋」がある。
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「だれでも参加できるよう将来的には参加費無料の教室を開きたい」と話すしゅんさくさん=東京都港区で

毎週火曜に子どもと創作「アートは勝手気まま」

 火曜日の午後、子どもたちがしゅんさくさんと創作に取り組む。11月26日は、白や赤、青色の紙粘土を混ぜ合わせて花瓶などを作り、スパンコールやモールなどで飾った。床のシートの上で、お絵描きやはんこを押す子もいる。一人一人作り方の違う子どもに合わせ、新しい材料を手渡し助言する。時には、けんかする子どもの仲裁も。

 「アートは身近な存在で、制限もなく、勝手気ままなもの。評価という基準から最もかけ離れた表現手段だから、子どもたちがあるがままでいられる」

口コミで評判 幼稚園や学校、病院にも出張

 岡山県生まれ。自身は子どもの頃、好奇心旺盛で、絵を描いたり何かを作ったり、そして壊したりするのが大好きだった。米国の大学で美術を学び、友人のつてで港区に住むことに。

 10年ほど前、自宅近くの公園で絵を描いていると、子どもたちが絵の具を使って遊び始めた。やりとりを見ていたお母さんの一人が、自分が住んでいる千葉県内で、しゅんさくさんと子どもたちが創作する集いを企画した。

 口コミで評判が広がった。5人以上子どもが集まれば、子ども1人につき500円の参加費と、しゅんさくさんが現地を訪れる交通費を負担してもらい、首都圏の幼稚園や小学校、インターナショナルスクール、自宅などへ出張。国立がん研究センター中央病院(中央区築地)へは3年目になる。

「皆が自分の意思で輝く時代に」願いを込めて

 しゅんさくさんが教室で着るTシャツには、しゅんさくさんが子どもたちに話し掛けている言葉が印刷されている。「すきないろがじぶんのいろ」「きみはきらめくたね」などで、お母さん方がメモして作った。

 「都会も地方も病気の子も、一人一人個性が違うだけ。ほめた方が伸びる子もいれば、何も言わない方が伸びる子も。個性に合わせて声を掛けているだけだよ」

 本業では、渋谷区富ケ谷のカフェに壁画「平和のための永遠の愛」を制作した。青を基調に色とりどりの波が重なり合い、グラデーションを作る。「波は人生の軌跡。一つ一つの波が重なり合わないようにしているが、背景の色と重なることで新しい色が生まれている。皆が自分の意志で輝く時代になるようにと、願いを込めた」。子どもたちとも自然体で向き合う。

 子どもたちとの創作は、毎週火曜日(祝日除く)午後1~4時に港区芝浦の芝浦ハウス。 毎週水曜日午前11~午後4時に中央区勝どきの子育て支援施設グロースリンクかちどき。問い合わせは「しゅんさくの部屋」へ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年12月16日

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