働く親を支え続けた保育 100年の歴史をたどる企画展 すみだ郷土文化資料館で
奥野斐 (2020年1月12日付 東京新聞朝刊)
明治後期、近代化で増えた女性労働者の子どもを預かる施設として始まった東京都墨田区の保育の歴史を紹介する企画展が、同区向島2のすみだ郷土文化資料館で開かれている。約1世紀にわたる地域の保育史を振り返る展示は珍しく、担当者は「保育関係者や子育て中の人に、今の状況と比べて見てほしい」と話す。2月11日まで。
1902年に初の保育園 1921年に公立も
保育園の運営資料や園舎の写真、設計図面、保育に尽力した人々のゆかりの品など約60点が並ぶ。
墨田区は隅田川左岸の地域で大消費地に近く、多くの工場が集まった。記録に残る区内初の保育園は、1902(明治35)年、当時の鐘淵紡績社内にできた乳児保育所という。
今も続く施設では、私立認可園の興望館保育園が1919(大正8)年に始まり、その2年後に現・区立江東橋保育園ができている。
「おもいでのアルバム」の作詞者が園長
1923年の関東大震災を機に、東大の学生ボランティア組織など他の団体も区内で保育を始めたが、多くの施設が太平洋戦争末期の45(昭和20)年3月の東京大空襲で焼失。一部は再建された。
東京市立として始まった江東橋保育園は、日光浴室を設けるなどモダンな造りで、戦後は視察も多かったという。
歴代園長には「いつのことだか思いだしてごらん~」の歌詞で始まる歌「おもいでのアルバム」の作詞者の増子としもいた。この歌は、仏教系の施設でも歌えるように、冬の歌詞がクリスマスに触れないものと二種類あり、歌詞全文も展示されている。
地域の保育を支えてきた思いを感じて
会場には、1976(昭和51)年、保育園の入園申し込みのため区役所に詰めかける親たちの写真も展示。石橋星志(せいし)学芸員は「それぞれの団体が人手不足や困難を越え、地域の保育を支えてきた。努力と思いが今につながっていると感じてもらえたら」と話す。
月曜と1月28日は休館。入館料100円、中学生以下無料。問い合わせは同館、電話03(5619)7034=へ。
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