育休復帰の4月 「働く母親(父親)はこうあるべき」の“呪い”を解くために

(2022年4月1日付 東京新聞朝刊)

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 年度替わりの4月、子どもを保育園に預け、育児休業から復帰する人も多いと思います。数年前ですが、私は育休復帰初日に子どもが熱を出し、病児保育室を利用しました。泣いている子を託し、後ろ髪を引かれる思いで職場に向かったものの、ろくに仕事もできません。子どもへの罪悪感と、仕事も中途半端な自分に惨めな気持ちになったのを覚えています=イラスト、東京すくすく公式インスタグラムから。

 その後も、子どもが熱を出すと病児保育室にお願いしましたが、どこか「子どもがかわいそう」と感じていました。幼い子の面倒を見るのは母親である自分の役割と思い込み、仕事を理由にそれができないことに葛藤がありました。

 広島県が作った「働く女性応援よくばりハンドブック」を知った昨年、当時の気持ちを思い出しました。タイトルに対し、多くの女性が「子育てしながら働くのがよくばりってこと?」と、ツイッターで非難や抗議の声を上げました。母親にだけ「周囲への感謝と配慮を忘れずに」と説いていたり、子育て当事者感のない父親のイラストを掲載したことも批判されました。

 この「よくばりハンドブック」を取り上げた記事でも触れましたが、私たちの周りには、まだまだ「働く母親(父親)はこうあるべきだ」といった「呪い」があふれています。無意識の偏見や、思い込みに縛られていることも。

 東京すくすくには、子育てしながら働く先輩たちの話や、育児と仕事の両立支援制度の解説、家事育児分担のポイントなど役立つ情報や、行き詰まったときに新たな視点を得られる記事があります。記事が、呪いに苦しむ人を解き放つきっかけになればと願っています。

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