日常化していた園児虐待、他の保育士は見て見ぬふり 市幹部も驚いた3人逮捕、背景に「社会的な注目」も
評判の良かった保育園で…
さくら保育園を運営する社会福祉法人「桜愛会」は、裾野市内で4園を運営。特に同保育園は入園希望者も多く、「自然と触れ合える風土が気に入っている」などと評判も良かった。
ただ園の内部資料からは、それに相反するような職場環境が明らかに。3人が担当した1歳児クラスでは虐待行為が日常化し、他の保育士が見聞きしても「見て見ぬふり」してしまう実態が浮き彫りとなった。
3人のうち2人は子どもがいる母親。動機は依然、はっきりしない。市は園側から「しつけのつもりだったようだ」と説明を受けたが、手足口病の症状がある女児の尻を男児に無理やり触らせるなど、しつけとは思えない虐待行為が露見。男児の頭を殴ったとされる容疑者の1人は、弁護士に「新型コロナで増えた業務と園児の世話に忙殺され、思わずやってしまった」と話している。
「早く捕まえろ」と電話が
静岡県警は問題が表面化した11月29日には捜査に着手。今月4日には、3人を一斉に逮捕した。ちょうど同時期、富山市の認定こども園で発覚した虐待事件では、関係した保育士2人について書類送検にとどまっており、静岡県警の速さと厳しい姿勢が際立つ。
裾野市の村田悠(はるかぜ)市長は、発覚直後から3人や桜井利彦園長の刑事告発を検討する考えを表明。園の体質を厳しい口調で批判したが、そんな市の幹部も「書類送検で終わると思っていた。こんなに早い段階で、しかも3人とも逮捕に踏み切るとは思いもしなかった」と驚くほどだった。
ある捜査関係者は「子どもが絡む事件は注目を集める。署や県警本部にも『早く捕まえろ』との電話が相当数あり、やらないわけにはいかなかった」と、社会的な注目の集まりを理由に挙げた。
市は公表遅れ、園は”隠蔽”
園と裾野市は8月には一連の虐待行為を把握していたが、11月下旬に表面化するまで公表に動かなかった。
市側は担当部局が市長に3カ月以上報告せず、市長に報告したのは問題が表面化する前日だった。市の初動は遅れ、結果的に公表遅れを招いた。「事実確認に時間がかかった」という担当部局の釈明に、村田市長は「すぐにでも警察に相談しないといけない内容だ」と断じ、担当部長を更迭する考えを示した。
園側では、桜井園長が園の機密事項を口外しないよう求める誓約書を全保育士に書かせるなど、隠蔽工作とみられる動きが発覚。信頼していた園の裏切りに、保護者から怒りの声が上がった。2023年度の入園希望で桜愛会が運営する4園を希望していた市民からは他園への変更を希望する申し込みが相次ぐなど、不信感が広がっている。
さくら保育園の園児虐待事件
11月29日の一部報道で虐待行為が表面化し、翌日、裾野市が会見して虐待行為を公表。県警は12月4日、園児への暴行容疑で元保育士3人を逮捕。いずれも犯行時期は6月で、被害者は3人が担当する1歳児クラス。裾野市は、3人が6~8月、カッターナイフの刃を見せて脅すなど、16項目の虐待行為を繰り返したとしている。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
私も幼少時にヒステリー起こした母に包丁を顔に向かって投げつけられ、その時ついた手の甲にある傷を見る度に心が乱れます。2019年に国連から児童虐待が多い国として日本は勧告を受けていますが、本来は先生や親など尊敬できる方々の一部が負の文化をばら撒いている。そこを変えていける社会になってほしい。