6カ月の男児が死亡…「認可外保育施設」とは? 立ち入り調査の結果はどこで見られる?
認可よりもゆるい「保育士資格」
認可外保育施設には、自治体の独自基準を満たし、補助金を受けて運営される東京都認証保育所や横浜保育室などと、「その他の認可外」と呼ばれる施設があります。今回事故のあった施設は「その他の認可外」にあたり、この記事では以降、この認可外保育施設について説明します。
こうした施設は、一般には「無認可保育園」「ベビーホテル」などと言われ、都道府県や政令市などへの届け出だけで開設できます。保育士の人数や保育室の面積など国が定めた基準を満たし、都道府県などが認可する認可保育所と比べて設置基準がゆるく、例えば、認可保育所では保育をする人は原則として全員が保育士資格を持つ人でなければなりませんが、こうした認可外保育施設は、保育士または看護師が「おおむね3分の1以上」いればよいことになっています。
保育室の面積も、認可保育所では0~1歳児の場合、1人当たり3.3㎡、2歳以上児も1.98㎡が必要ですが、認可外保育施設は年齢にかかわらず「おおむね1.65㎡以上」です。
昨年の死亡事故、半数が「認可外の睡眠中」
子どもの死亡事故の発生率も、認可保育所などと比べ、高い傾向にあります。内閣府の調査では、2017年中に報告があった保育施設での死亡事故件数は8件で、そのうち4件が認可外保育施設での子どもの睡眠中に起きています。また、2004~17年中に報告があった死亡事故の累計件数でも、195件中、131件が認可外保育施設(自治体独自基準の施設を含む)で起きていました。
認可外保育施設の中にも、優れた保育を行っているところはありますが、基準がゆるい分、保護者の目で実際に確認し、説明を聞くなどして納得して選ぶ必要があります。
立ち入り調査「年1回以上」だが実態は…
認可外保育施設に対しては、児童福祉法に基づいて原則年1回以上、都道府県などが立ち入り調査に入ることになっています。中でもベビーホテルと呼ばれる、夜間や宿泊を伴う保育を行う施設は「必ず年1回」行うこととしています。
今回事故のあった施設のある東京都の報告書によると、認可外保育施設は2017年度に1089施設あり、このうち211施設、実施率にして19.4%にしか立ち入り調査に入っていません。立ち入り調査に入った211施設の7割以上にあたる155施設に文書で改善を求めるレベルの指摘があり、このうち49施設が「子どものいる時間帯に職員の1人勤務の時間があるので改善すること」と求められています。都の担当者は「問題点が多い施設や新しくできた施設など優先順位を付けて立ち入り先を選び、重大事故の未然防止を図っている」と説明しています。
都福祉保健局のHPに5年分の調査結果
調査に入った施設については、都福祉保健局のホームページで過去5年分の結果を掲載しています。「常に複数の保育者で子どもをみているか」「保育者の3分の1以上が有資格者か」「調理室は衛生的か」など、項目ごとに表になっており、問題点があれば「×」、改善されていれば「×→〇」がついています。特に、子どもの保育に直接かかわる保育士の配置などで問題点がある施設は、実際に働いている保育士の人数を聞くなどの確認が必要です。
利用料金が極端に安い施設は要注意
認可外保育施設は、行政の補助金などを受けられない場合が多く、収入に直結する利用料金は認可保育所などより高い傾向があります。料金が他と比べて極端に安い施設には、理由を確認したほうが良さそうです。
東京都以外でも、立ち入り調査結果を公表している自治体があります。「自治体名 認可外 立ち入り」などで検索してみましょう。公表していなくても、問い合わせれば教えてくれる場合もあります。
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これから保育所を探す人や、今子どもを通わせている施設に不安を抱える人は、東京すくすくの特集【大丈夫?保育の質】にある「保育園選び基本のキ 14のチェックポイント」も参考にしてみてください。
※コメント欄で、立ち入り調査の内容についての質問がありました。こちらの記事で解説しました。
「認可外保育」の立ち入り調査って何をするの?問題が見つかったらどうなる? (10月12日)
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立ち入り調査というのは、具体的にどのようなことをするのですか?