羊飼いのごとく、今朝もなんとか4兄弟の送り出しに成功〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉

(2024年6月5日付 東京新聞朝刊)

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加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!

 午前6時45分、起床。朝食の担当は僕。昨晩つけておいたお米とみそ汁を火にかけてから、我慢していたトイレに駆け込む。ふー。

 三男が起きてきた。「おはよう」と言うと、「うん」と返事。「うんじゃないでしょ?」と言うと、「おはよう」と三男。次男起きてくるなり、ギターを弾きだす。「おはよう」と言うと、「うん」と返事。「うん?」と僕。「ああ、おはよう」と、こちらも見ずにギター。ボウルに卵を5個入れ、かき混ぜる。四男現る。「おはよう」と言うと、「おはようございまーす」と幼稚園のトーン。「おしっこしちゃった」と笑う四男。床がぬれていた。

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 洗濯物を抱え妻が登場。

 2週間前が提出期限のぐしゃぐしゃになったプリントを発見し、次男怒られる。みそ汁の鍋に「ほんだし」投入。無添加出汁(だし)パック推奨の妻に気づかれないよう、そっと入れる。乾燥わかめ投入。乾燥してないわかめ推奨の妻に気づかれないよう、そっと入れる。

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 三男が忘れていた音読の宿題をする中、長男、パンツいっちょで登場。「朝ごはん何?」と聞かれ、「いつもの」と答える。「いただきまーす」。朝食スタート。長男次男、ソーセージの数でけんか。三男、いつも通りみそ汁を残す。四男、カメレオンになりきり、舌でペロリと卵焼きを食べる。

 「歯磨いた?」「寝癖直して」「宿題のプリント持った?」「もう隣のけんちゃん来るよ」。妻は羊飼いのごとく、迷える子羊たちを玄関に急き立て、今日もなんとか送り出しに成功。「やっと行きました」と、一仕事終えた妻は、机の上に長男の宿題のプリントを見つける。

加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

写真 加瀬健太郎さん

 写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。13歳、11歳、7歳、3歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。

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