「時計が読めない」を解決! 子ども向け「ふんぷんくろっく」発売から10周年 5分刻みで一目で分かる

鈴木里奈 (2024年9月12日付 東京新聞朝刊)
 時計の針が「何時何分」を指しているのか、小さな子どもでも一目で分かるアナログの時計「ふんぷんくろっく」が、今年10月で2014年の販売開始から10周年を迎える。デザインを担当した東京都大田区のインテリアコーディネーター土橋陽子さん(48)は「子どもが自分自身で時間を理解できるようになり、納得して動くためのツールとして愛されてほしい」と話す。
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インテリアになじむ、今流行のくすみカラーのふんぷんくろっくも登場している

あえてアナログ 世界中で人気  

 ふんぷんくろっくは、短針が示す「1~12」の外側に、長針が示す「0~55」の5刻みの数字を配置。一般的な時計のように「1~12」の数字のみの文字盤では、長針が「1」を示した時に「5分」を意味することをすぐには理解できない小さな子どもでも、一目で5分を指したと分かる。

 富山県高岡市のインテリア製品企画販売「タカタレムノス」が販売し、世界中でシリーズ累計11万個を売り上げるなど、デジタル時代の今も息の長い人気を誇る。17年にはグッドデザイン賞を受賞。その後、15分ごとに区切って文字盤を色分けしたデザインの商品を含め、第13回キッズデザイン賞も受賞した。

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ふんぷんくろっくをデザインした土橋陽子さん=いずれも東京都文京区のタカタレムノス東京ショールームで

 アイデアのきっかけは、土橋さんが12年夏に主宰した親子向けのワークショップだ。照明器具をデザインする作業を、決められた時間内に終えられない子どもが何人かいて、不思議に感じた。会場内を見回してみると、デザインを重視したためか、時刻が読み取りにくい時計が一つあるだけだった。

 子どもが作業しやすい環境を整えようと、時刻を把握しやすいデザインの時計を探し回ったが、結局見つけることはできなかった。

おしゃれなデザインはいらない 

 「どうして子ども用の時計はないんでしょうか」。仕事を通じて交流があったタカタレムノスの当時の社長に聞くと「あなたがデザインしてみてはどうか」と逆に勧められ、新しい挑戦に取り組んだ。

 試作を重ね、実際に幼稚園で使ってもらい感想を聞いた。「おしゃれなデザインは子どもにとっては意味がない」ことや「根拠のない色を使うと、気持ち悪いと感じる子どももいる」ことなどを学び、製品に反映させた。時間や時刻の理解を促すため、子ども一人一人の自主性を伸ばす「モンテッソーリ教育」の考え方も取り入れている。

 発売からの10年間で、社会全体のデジタル化は急速に進んだ。タカタレムノスが今年7月に子育て中の20~40代272人を対象にインターネット上でアンケートを実施したところ、約3割が「家にアナログ時計はない」と回答。「ある」と答えた人の中でも、4割はリビングに置いていなかった。

 アナログ時計について土橋さんは「円グラフのように視覚で把握できるので、時計が読めない子どもでも残りの時間が塊で分かる」と指摘。「時間感覚を養う環境づくりにもつながる」と、その重要性を訴える。

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  • ちい says:

    この時計は大発明なんじゃないですか?子供の成長と未来のためになり、それにデザインも素敵。日本だけじゃなく、もっと世界に広く知ってもらいたいですね。

    ちい 女性 40代

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