育児の分担は「母親が6割以上」が85% 川崎市の市民団体が中央大とアンケート 保育士の低賃金も浮き彫りに
北條香子 (2025年1月17日付 東京新聞朝刊)
市民団体「川崎市保育問題交流会」と中央大経済学部の小尾晴美助教は、川崎市内の認可保育所を対象に、施設長と保育士、保護者に実施した共同アンケート結果を発表した。夫婦間の育児分担割合についての質問では「母親が6割以上」という保護者の回答が85.1%に上り、分担が母親に偏っている実態が浮き彫りになった。

調査を通じて感じたことなどを話す中央大の学生ら=市役所で
勤務時間は父親が長いけれど…
同交流会は2017年に専修大と、19年に横浜市立大と共同で、保育士らに労働環境を尋ねるアンケートを実施。今回は23年7~10月に実施し、初めて保護者を調査対象に加えた。市内の全認可保育所438園に協力を依頼し、10.3%に当たる45園が応じた。
保護者121人からの回答では、母親よりも父親の方が勤務時間が長く、帰宅時間も遅い傾向がみられた。子育てを楽しいと思う保護者は84.2%だった一方、リフレッシュする時間の確保に「満足していない」という回答は61.2%だった。小尾ゼミの甘利佳椰(かや)ゼミ長(22)は「子育てが楽しいと思う保護者の割合は予想よりも多かったが、自分時間の確保に不満を持つ母親が多く、ジェンダーの課題を感じた」と話した。
保育士の処遇改善を求める声も
調査に協力した園の80%は、待機児童問題の深刻化を受けて10年以降に開設された比較的新しい園だったという。このため、勤続年数が短い保育士が多かったこともあり、保育士491人を対象としたアンケートでは、44.8%が賃金について「300万円未満」と回答。正規職員に限っても77.6%が年収500万円未満だった。
施設長から挙げられた運営上の課題は「保育士確保」が最も多く86.7%を占め、「職員の処遇改善」「職員のスキルアップ」が68.9%で続いた。自由記述欄でも、保育士の賃金引き上げなど処遇改善を求める意見が複数寄せられたという。
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