保育園での保護者対応 保育士をやめる理由にも 現場に出る前の学生 演習で「保育者も守られていいと知った」

実習では経験の機会なく「不安」
「絶対に蚊にさされないようにして」「うちの子を発表会の主役に」。SNS上では保育士が保護者から受けた無理な要求が見つかる。「保育実習では保護者対応をする機会がほとんどなく、SNSなどの情報で不安に思っている学生が多い」と、同大人間科学部の西村美佳教授は話す。
大学は1月上旬、この春から保育士や幼稚園教諭、小学校教諭として現場に出る学生に、保育や教育の現場で役立つ法律に関する知識を学ぶ演習を初めて実施した。講師は弁護士で「ズバッと解決! 保育者のリアルなお悩み200」の著書がある吉永公平さん(40)が務めた。吉永さんは、子どもの権利のほか、けがなどの事故の責任の考え方、保護者対応などを実際の判例も交えながら解説した。
学生の中には、事故などが発生し保護者側から訴えられると必ず責任を問われると思い込んでいる人も。演習で、「過失」があれば賠償責任を負うことがある一方、「予見困難」として法的責任を問われなかった判決があることも知った。
さらに「過失」はないが園側も発生に無関係でない場合は「道義的責任」を負うことも説明。その場合、「期待に沿えずすみません」といった心情に配慮した謝罪で良いことも伝えた。
具体的な対応については「どの保護者にも常識的な対応をして」と助言。長時間にわたる苦情には時間を区切り、暴言がある場合は話し合いを続けなくてもいいとした。「個別対応で、他の子どもをないがしろにしてはいけない。子どもたちに良い保育・教育をすることが役割」と強調。園の見解を文書で保護者に示すことも有効だとした。

保護者対応について「他の子どもたちをないがしろにしてはいけない」と話す吉永公平さん=名古屋市の金城学院大で
園と保護者は子育てパートナー
保護者の方が立場が上だと思い込んでいた学生も多く、「不安が和らいだ」との声も。今春から愛知県内の保育園で働く小柳美羽さん(22)は「保育者も守られていい存在だと知った。現場に立つ前に教えてもらえて良かった」と話した。ただ、それでも「保護者と良い関係を築けるか」といった不安が残る学生もいた。
今回は単発だったが、大学は2028年度から保育士などを目指す3年生向けの新規科目に同様の内容を盛り込む方針だ。法律の知識を身に付けるほか、月経など女性の健康と仕事の両立を考えるような探究型の科目になるという。西村教授は「長くキャリアを積み上げられる人材を育てたい」と話している。
保護者側には、どんなことが求められるのだろうか。2児の父でもある吉永さんは、「いったんは気兼ねなく意見を言ってほしい」と話す。不適切保育などに対し適切な対応を求めるといった保護者として当然の要求もある。
ただ、すべての要望をかなえることはできない点への理解も求める。保育現場は限られた人数で大勢の子どもを預かり、全員の安全に配慮して対応している。園内行事などの保育内容について要望を寄せる保護者が多いが、保育士は専門職として内容を考えているため、「最終的な決定権は園側にある」と語る。
その上で「園と保護者はパートナーの関係にある」とし、子どもの成長を真ん中に、保護者と保育士が共に考えていくことの大切さを強調する。相互理解に努めることが重要で「園はサービスする側だと、保護者が捉えればうまくいかなくなる」と指摘する。
なるほど!
グッときた
もやもや...
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ただ実際に仕事に忙殺される世帯や発達に凹凸があり集団活動が苦手な子はいるので、丁寧な線引きをせずクレーマー扱いするとますます保育者の立場を貶め危うくしかねないと心配ではあります。
また保育者の早期離職トップは現場の人間関係です。特殊な上下関係にエネルギーを割き子供が疎かになる話も多く耳にします。保育者は女性が多く同質的な空間になりがちです。長期的キャリア形成の為にそちらにも是非メスを入れて欲しいです。
この手の話は保育者だけではなく、保護者にも知る機会がもっとあればいい。
お互いが理解していないと、保育者だけが悩むだけで、保護者は何も気にしない。
協力的で、感謝してくださる保護者の方も沢山いらっしゃいます。ただ、悲しいことに昔より減っているように思います、、、。
保育サービスが少し行き過ぎてしまったのかも。
このようなお話しを、保護者向けにも発信していただきたいです。
園と保護者は子育てパートナー…と感じる保育者は少ないと思います。それほどに現代の保護者は強いです…
クレームもありますが、理不尽な事もあります。また家庭と園とでの子どもの様子が違い過ぎる家庭もあって面談しても話が上手くいかないことも…難しいことばかりです。
不適切保育という言葉ばかりが、世に浸透し過ぎているようにも思います。いけない事ですが、その背景にある物を根本的に解決しなければいけないと感じています。
だいたい学校出ていきなり「先生」と呼ばれる立場になり、保育の世界しか知らない保育士が、出産子育てのアドバイスしても説得力は無い。しかし保育園では若い保育士ばかりを採用する。
社会に出て、出産子育て経験したからこそ、荒波に乗れるがその頃には、中堅以上の年齢に…。
早朝6時半前に出勤、遅番では22時に迎えに来た親もいた。休憩室無し、ほとんど休憩すら無し。お昼も急いで食べる。雑務は、先に入社した者勝ちで後から入ってくるまで担当は変わらず。
体調悪くても休みの連絡が入れづらい。無理して出勤し過労で1ヶ月入院。子供の感染症にかかり再度2週間入院。上司からのハラスメントによりストレス。結局8年目で保育士辞めました。辞めたくはありませんでした。
子供たちが唯一の癒しであり支えでしたから…でも私の心身ともに疲れていく姿を家族は心配してました。半年すぎ、そろそろ復帰しようかと思いましたが、おばちゃん保育士はいらないようです。
長年保育現場で働いていますが、保護者対応、保護者支援はどんどん大変になってきているように感じます。
インターネットの普及で子育に関しても沢山の情報が溢れ、情報過多による子育てはより大変でしんどくなっているようにも思います。
そんな中だからこそ保育園は保護者支援にも力を注ぎ、保護者とともに子どもの育ちをより良いものにと考えていますが、理不尽な要求、身勝手な要求してくる方は少なからずいます。
どんなに経験を積んでもやはりこの様な方の対応には神経をすり減らし、心を痛めます。
ですからこの様な学びがある事は今後の保育士育成の場には必要で、大切だと思うと共に学生さんだけでなく、今の保育の現場でも積極的にトラブルに対する正しい知識を得る場を設けて、保育士も守られる現場を作っていかないといけないと思いました。
うちも今年度非常勤も含め4人も辞めている。しかも補充はなくて、担任不足の中、職員が1人でも休めば定数を割り保育している。
もちろん、書類の1人あたりの負担は増えている。なのに保育は抜けられないので作業時間はもらえない。もちろん残業、、だが上は残業するなという。持ち帰れということか?
休みたい日に休むこともできない現状で疲れはピーク。そんな中でさらに命を預かってるというプレッシャー。本当にもう無理、、
不適切保育している人がいても、上は辞めさせることもできない。保育の質は最悪。
この内容、保育士の研修でもやってほしいです。私も受講したいです
現役保育士36年目です。
昔と比べても仕方ないかもしれないけれど、保護者はと保育士は子育てのパートナーと言われますが、今の保護者はお金を払って子どもを見てもらっていると言う考え方なのか、何でも園側にしてもらうのが当たり前、園任せ?
(先日の面談でも例えばトイレットトレーニングや着替えや食事のルールを教えるなど家庭では忙しいので出来ないと平気で言えてしまう)保護者が増えてきたように感じました。
また、ある保護者は子どもの主体性を大切にしすぎているのか、ただただわがままを通してしまっているため、子どもがみんなとの活動が出来ず園でも個別対応しなけらばならなかったり(そういう家庭が1人や2人ではない)など、
子どもたちも多様化していてかなり保育しにくく、保育士が不足しているなか、一人一人に丁寧な対応が厳しいのが現状です。
なかなか保育士と保護者が対等な子育てパートナーとはいかない部分を感じています。むしろ確実に昔より今の保護者の方が権利を強く主張してくるようになっていると思います。保護者の方にももっと子育てしやすい社会になることを願うばかりです。