子どものけいれん、どう対応したらいい? 学会が初の一般向けマニュアル作成 いざという時の助けに
まず体を横に、口にものを詰めない
子どもがけいれんを起こす原因はさまざま。よく知られているのは、高熱を出した主に5歳以下の10人に1人が起こすとされる「熱性けいれん」。また、脳神経の病気「てんかん」や、急性脳炎・脳症、頭蓋内出血がある。
原因は何であれ、マニュアルはどのけいれんにも対応。時間の経過に沿って対処法を指示してくれる。子どもが初めてけいれんを起こした場合、まず体を横にする。窒息する恐れもあるため、口にものは詰めない。医師は体や顔の動きから原因を探るので、スマートフォンなどでけいれんの様子を動画に残しておこう。
けいれんが始まってからの時間にも注意。多くは5分以内に治まる。意識が戻ったとしても、医療機関を受診する。一方、5分以上続くと、そのまま30分以上止まらず脳に障害が出たり、命に危険を及ぼしたりすることもあるため救急車を呼ぶ。意識が戻らない場合も同様だ。
注意が必要なのは、意識不明で呼吸が止まった時との区別。意識を失う心停止では自動体外式除細動器(AED)の使用が求められるなど、対応が異なる。
これまでなかった統一のマニュアル
さらに、子どもが過去に熱性けいれんやてんかんなどの診断を受けており、けいれんが起きた場合に備え、主治医が処置薬などを記入するマニュアルや、学校に提出する「生活指導箋」も作成。指導箋にはてんかん発作の症状や頻度、運動への配慮を書き込める。
日本小児神経学会医療安全委員会の担当理事是松聖悟医師(57)は「けいれんに対応する全国統一マニュアルはなかった」と指摘する。子どもの心臓病や腎臓病、アレルギーに必要な対応を記した「学校生活管理指導表」は広く使われている。一方、けいれんを起こす恐れがある子ども用には、医師や保護者が個別に書いた書類を学校に提出するしかなかった。
是松さんは、大分県で県統一のアナフィラキシー対応マニュアルを作った経験から、同委員会でけいれんのマニュアル作りを提案。両学会は2023年、専門のワーキンググループを設置し、日本小児神経学会が昨年10月、ホームページにマニュアルを公開した。
同グループ委員長の伊藤進医師(47)は「マニュアルや生活指導箋で多くの人がけいれんへの対応を学び、てんかんの子どもが健やかに生活できる幅を広げたい」と話す。
てんかん早期診断にも期待
てんかん患者の家族や患者会はマニュアルに期待を寄せる。東京都の50代女性は13年前、当時小学1年の長女がけいれんを起こした。両手を握りしめて、唇は真っ青に。数分で治まったが、翌朝まで複数回のけいれんがあり、救急車を呼び、病院で診察を受けた。
女性は「死んでしまうんじゃないかと不安だった。必要なことが全て書かれている良いマニュアル」と評価する。日本てんかん協会の中村千穂副会長(55)は「普及すると、てんかんの早期診断にもつながるはず」と話す。
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