被害生徒が笑ったから… 川口いじめ訴訟で学校側が露呈させた”理解不足”
柏崎智子 (2021年4月18日付 東京新聞朝刊)
川口市立中学校であったいじめへの対応を巡り、元被害生徒が市を訴えた裁判を傍聴している。14日は初めて証人尋問が行われ、市側から当時の部活顧問教諭と市教育委員会指導主事が出廷した。
「元生徒は苦痛と感じておらず、母親がいじめだと騒いでいるだけ」とする市の主張に沿う証言になることは予想していたが、驚いたのは、いじめ問題への理解不足を堂々と露呈させたことだ。
元顧問は、原告側代理人から一般論として「被害生徒が『大丈夫』と言っても実は大丈夫ではないこともありますよね」と問われると、「聞いたことがない」と答えた。元指導主事は元生徒が苦痛を感じていなかった傍証として、元生徒が笑ったことを話した。
「被害者は申し出るはず」「暗い顔をしているはず」という偏見は、いじめを含むあらゆるハラスメントで被害者を追い詰める。今悩んでいる子どもが聞いたら、どんな気持ちになるだろうか。
市は、裁判に勝つことしか頭にないのかもしれないが、その姿を市民は見ている。最も恐れるべきは、市の教育への信頼を失うことではないか。
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