「リュウソウジャー」レッド役 一ノ瀬颯さん 回り道したけれど…今はあこがれのヒーローに

(2019年8月4日付 東京新聞朝刊)

家族のこと話そう

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(高嶋ちぐさ撮影)

小学校低学年で、俳優になりたいと思った

 小さい頃、テレビは朝の30分だけしか見せてもらえませんでした。その中でもスーパー戦隊シリーズは毎週すごく楽しみで、自分とは別世界の物語に夢中になっていました。

 かっこいいヒーローへの憧れから、初めて俳優になりたいと思ったのは小学校低学年のとき。ただ、サラリーマンの父に伝えると、「厳しい世界だよ。生計を立てるのも難しいよ」と言われました。自分の中で「俳優になる」という夢はタブーになり、中高生の頃は安定しているとの理由で、司法書士や行政書士を目指していました。

 再び俳優を目指したいと思ったきっかけは、高校1年で受けた模試の論述テストでした。職業を選ぶ際に「やりたいことを取るか、お金を取るか」との問いに答えるうち、「やらないで後悔したくない」という思いが募りました。大学に入ったら俳優を目指そうと決めました。

進学手続きでミス…ともに考えてくれた父

 昨年春、大学の入学式でスカウトされました。ただ、父には「俳優を目指して芸能活動をする」と言いたくなかった。こっそり始めたいと思っていました。後ろめたかったんです。

 実は大学に入るまで、2年遠回りをしました。1年浪人し、2年目は第1志望の合否の結果を待つ間に、合格していた大学の入金手続きの期限が過ぎ、どこにも行けなくなってしまったんです。「人生終わった」と絶望しかけていた僕の横で、父は「事実は取り返しがつかない」と言いながらも、専門学校を調べるなど、次の一手を真剣に考えてくれました。

 父と探した専門学校に入学。そこから大学への編入を、と考えていましたが、通い始めた専門学校に納得できず、結局大学を受け直しました。そうやって大迷惑をかけて、ブレブレの選択をして、ようやく大学に入ったところだったので…。

 気持ちを奮い立たせて父に伝えました。今回もだめ出しされると思っていましたが、「すねをかじらず生活していくなら」と、認めてくれました。

母に教わったこと「人に無条件に優しく」

 一方、母は快く背中を押してくれました。幼い頃から折に触れ、人と関わる上で大事なことを教えてくれた母。幼稚園の時に言われた「人に無条件に優しくしていると、巡り巡って自分に返ってくる」は、今演じている戦隊シリーズの役に重なります。100パーセント他人のために動く主人公は、みんなに慕われる。「母に教わったそのままだ」と感じています。

 いつか俳優として両親に胸を張れるように、上を向いて進んでいきたいです。

一ノ瀬颯(いちのせ・はやて) 

 1997年、東京都生まれ。2019年3月、テレビ朝日系「騎士竜戦隊リュウソウジャー」の主演・コウ(リュウソウレッド)役でデビュー。映画『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』が全国で公開中。

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  • 匿名 says:

    初めまして。記事を読ませていただきました、22歳の女性保育士です。私の園の年長さんとリュウソウジャーの話をしたのをきっかけにテレビで見るようになり、リュウソウジャーのレッドの一ノ瀬さんの記事を見させていただきました!
    自分の気持ちに素直にすすんでこられ、幼い頃からの夢を叶えられたのを聞いて、私も幼い頃からの夢であった保育士になれて改めて良かったなと思いました。なぜなら、子ども達が大好きなリュウソウジャーのコウの話や私自身が考えつかなかった視点からの教えなど子ども達への関わりについても考えさせられたからです!また、たくさんお話ししてあげられるなと思ったからです!
    記事を書いてくださってありがとうございます!!

      

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