俳優 江口のりこさん 5人きょうだいは縦社会 切り分けた誕生日ケーキはすごく細くて

五十住和樹 (2024年8月25日付 東京新聞朝刊)
写真

きょうだいについて語る江口のりこさん(松崎浩一撮影)

家族のこと話そう

双子でも絶対的な「姉」意識

 私は5人きょうだい。四つ上と二つ上の兄、私と双子の姉と、妹です。子どものころは外で遊ぶのが好きで、お姉ちゃんと一緒に近所の子を誘ってゴム跳び、ドッジボールや鬼ごっこをしてました。ローラースケートがはやった時は、朝5時ぐらいに起きて滑ってました。

 双子ですが、姉という意識は絶対的にありました。母が料理をつくる時、姉は率先して手伝うから私はあきらめて「じゃあ、いいや」。2人で自転車でどこかへ行くときも必ず姉が前。今は外国に住んでいて私は年に一度行きますが、朝からずっと動き回って子どもを育てているのは私と全然違う時間の流れだなと思って。おおらかでしっかり者で、料理上手。頑張っているお姉ちゃんを見ると、日本に帰って仕事頑張ろうとか、そんな気持ちになります。

 子ども時代、兄2人は結構怖かった。縦社会だったんです。家族の中に一つの社会がある感じで兄の言うことは絶対、みたいな。お兄ちゃん2人が楽しそうにファミコンしていて、「おまえはあかん」と言われたらじっとしてる。2番目の兄が私たちを泣かすと一番上の兄が「おまえがやったんか」と次兄を泣かす、私が妹を泣かしたらお兄ちゃんから泣かされる。そんな構図でした。部屋に2段ベッドが二つあってそれぞれ兄2人と、私と姉。一人になりたい時や悔しくて泣いたりする時はベッドの上にいた気がします。

 妹は甘え上手で、人に何かを頼むのもすごくうまい。でも甘えん坊に見えて、上の4人をずっと見てきているためか冷静な子です。たまにご飯を食べに行きますが、他愛(たわい)もない話が私の息抜きです。

家を広くしたい母がしたのは… 

 きょうだいが多いのは楽しかったですが、切り分けた誕生日のケーキがすごく細くて残念だなっていつも思ってました。今はそれぞれ離れたところに住んでいて全員が一堂に集まることはないですが、子どものころの思い出は豊かだと思う。思い出の中に兄たち、姉や妹がいるっていうのが私の財産です。

 5人を育てた母は明るくてエネルギッシュ。ピアノを1人で動かすなどしょっちゅう部屋の模様替えをして、朝起きたら全然違う景色になってたり。家をもうちょっと広くしたいと柱を勝手に切ったことも。もう1本切りたくて設計士さんに相談したら、「この1本は重要だからやめて」と止められたようです。

 子どものころから自分のことは自分でするというのがまずあった。だから自分の仕事選びも両親に相談せずやりました。きょうだい皆が好きなことをやってるから、それはそれでいいんじゃないかな。

江口のりこ(えぐち・のりこ)

 1980年、兵庫県出身。2002年に「金融破滅ニッポン 桃源郷の人々」で映画デビュー。テレビドラマや舞台にも出演多数。9月8日から東京・PARCO劇場で上演する舞台「ワタシタチはモノガタリ」に出演予定。 

1

なるほど!

3

グッときた

1

もやもや...

3

もっと
知りたい

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

/1000文字まで

編集チームがチェックの上で公開します。内容によっては非公開としたり、一部を削除したり、明らかな誤字等を修正させていただくことがあります。
投稿内容は、東京すくすくや東京新聞など、中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

あなたへのおすすめ

PageTopへ