子どもたちの何げない「遊びの時間」大切にして 絵本作家・はたこうしろうさんの言葉
長壁綾子 (2025年7月27日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
実家に帰り、4歳のおいと遊ぶことが楽しみの一つだ。庭で虫捕りをすることが好きで、私も同じ目線に立ち、生きものたちを見つめる。なんだか懐かしく、新しい発見が毎回ある。体力は使うけれど、キラキラした目で全力で遊ぶ子どもから元気をもらえる。

ダンゴムシ、トンボ、チョウチョ、トカゲ…虫捕りに夢中!
「子どもたちにはもっと遊びを大切にしてほしい」。「ゆきのこえ」(講談社)で第56回講談社絵本賞を受賞した絵本作家のはたこうしろうさんは授賞式で、こう話した。

「ゆきのこえ」(講談社)文・おーなり由子/絵・はたこうしろう
はたさんは、「遊び」をテーマに絵本を描く。表情豊かな、のびのびとした子どもの姿は、実際に目の前を走ったり、笑ったりしているかのよう。
「今、不登校の子や自ら命を絶つ子どもが過去最多。世界は生きる価値があることを絵本を通して伝えていきたい」とはたさんは訴えかけた。
受験や習い事などで、子どもたちは自由な時間が限られている。その中での友だちとの遊びの時間。言葉にはならない何げない時間だが、それこそが人生を豊かにし、自主性を育てる。
「ゲームなどのデジタルの遊びも楽しい物ではあるが、デジタルは拡大するとドットの集合体。だが、現実の世界は葉っぱ1枚をとっても、限りない情報が集まっている。豊かなものを感じとってほしい。この美しい世界をもっと味わってほしい」。はたさんの言葉が、私の胸に刻まれている。
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