スマホやタブレットが子どもの視力に悪影響?〈窪田良のメディカル・トーク〉

(2025年11月11日付 東京新聞朝刊)
タブレットを見る子どもと注意する親のイラスト

イラスト・佐藤圭美

問題は「距離」と「時間」と「使い方」

 子どもがいくつになったらスマートフォンを持たせるのか。多くの保護者の関心事でしょう。スマホやタブレットの長時間使用は、近くで物を見ることや室内活動を増やすため、近視進行の一因とされますが、年齢に応じて上手に使えば、必ずしも悪影響ばかりではありません。スマホが読書などと比べて目に悪いというエビデンスはありません。問題は「距離」と「時間」そして「使い方」にあります。

 私は2人の子どもを育てましたが、小学校を卒業するまでスマホを持たせませんでした。友人との連絡や学習に不便はあったかもしれませんが、発達段階に応じて視力や生活リズムを守ることを優先しました。親がルールを示すことは、子どもの目を守る第一歩だと思います。

上手に付き合う知恵と習慣 親子で共有

 最近は、一部のデジタルデバイスに「目に近づけすぎると警告が出る」機能が搭載されています。科学的根拠に基づいた優れた仕組みで、一定の距離を保つ習慣づくりに役立ちます。

 大切なのはデジタル機器を完全に排除することではなく、正しい距離で、適切な時間使うことです。家庭で「1時間使ったら10分休む」「画面を30センチ以上離す」など、具体的なルールを設けると良いでしょう。

 目の健康を損なわずに、上手に付き合う知恵と習慣を親子で共有することが、最も大切な〝目の教育〟だと私は考えています。

窪田良(くぼた・りょう)

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 1966年生まれ、兵庫県出身。眼科医、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO。慶応大医学部を卒業。虎の門病院勤務を経て、米シアトルのワシントン大助教授や慶応大医学部客員教授として活躍。現在は眼科現在は眼科領域で創薬と医療技術の研究開発に取り組む。著書に「近視は病気です」(東洋経済新報社)。本コラムでは、子どもの目が置かれた状況や近視予防対策などの話題を幅広く伝えます。

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