安心して子どもと行ける! 成人雑誌を撤去したミニストップ社長 「女性従業員へのセクハラだったんだと気付いた」
売り上げへの影響は、ほとんどない
-撤去したきっかけは。
「女性の利用者が増えている中、熊谷俊人・千葉市長の要請を受け、17年12月から同市内、翌年1月から全店舗で販売を中止した。当初は市内だけのつもりだったが、業界4位のわれわれは(全国で)2000店舗しかなく、やめるなら一気にやめてしまおうと。お客さんが喜んでくれることは最初にやった方がいい」
-売り上げへの影響は。
「店舗によってばらつきがあるものの、売り上げ全体に占める成人雑誌の割合はわずか。そもそも雑誌全体の売り上げの減少傾向が続いており、店舗での陳列数も減っている。売り上げへの影響は、ほぼないというか(額が少なくて)分からない状態だ」
「よくやった」ポジティブな反応多い
-空いたスペースはどう使っているか。
「女性誌を置いてみたりしたが、売れなかった。今は雑貨のスペースになっている」
-顧客の反応は。
「おおむねポジティブだ。発表直後は『よくやった』『これからミニストップ行くよ』と言って、来てくれるようになったお客さんも。実際にそう増えたわけではないが。『出版の自由はどう考えるのか』『インターネットが使えないお年寄りの楽しみを奪うのか』という意見も若干あった」
女子高校生のレジに持って行く人も
-ほかに効果は。
「成人雑誌を並べたり整理する従業員、特に女性従業員に喜ばれた。お客さんの中には、女子高校生など若い女性のレジに(成人雑誌を)持って行く人もいる。過去にはたくさん売っていた時期もある。それが従業員に対するセクハラだったんだなと気付いた」
-ミニストップはイートインでも先駆者とされる。
「われわれは業界内では後発。差別化にはファストフードと、フライドチキンなどを販売した。今ではスナック系は(他社に)追いつかれてしまい、『わが社ならでは』はソフトクリームやハロハロ(かき氷のデザート)くらいだ」
-消費税増税に伴って導入される軽減税率への対応は。
「経済産業省のガイドライン通りにやるだけ。(税率が8%に据え置かれる食品も)『イートインで食べるときだけ(10%となるので)申し出てください』となる予定だ」
ふじもと・あきひろ
1962年生まれ。85年ミニストップ入社。マーケティング室長、ファストフード商品本部長などを経て2017年から現職。
コンビニ大手3社も追随 ラグビーW杯までに撤去
コンビニエンスストアでは、業界の自主規制により、2004年から成人雑誌は立ち読みができないようシール留めした上で、一般雑誌と区切って陳列するようになった。女性や子どもが来店しやすくする狙い。
千葉市では熊谷俊人市長が17年夏、市内のコンビニ各社に対し、成人雑誌にカバーをかけるよう打診したが、作業増などを理由に応じる社はなかった。しかしミニストップは同年11月末、市内の店舗での取り扱い中止を発表。18年1月から全店舗へと拡大した。
その後、他社も一部店舗で取り扱いを中止。今年に入り、セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマート、ローソンの大手3社が全店での販売中止を発表した。各社ともラグビーW杯が開幕する9月までに撤去する方針。一方、成人向けの基準があいまいとして、表現の自由の制約につながることを危ぶむ声も根強く残っている。
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