神奈川・開成町初の女性自治会長に就任 ’’子育て中のパート主婦’’ 清水友紀さん
「なり手がいないのは女性に声をかけてないから」
小学生たちが目を輝かせ、開成駅前の自治会会議室へ急ぐ。春と夏休みの午前中に利用する特別な居場所。宿題をした後、昔懐かしいお手玉やロボットを動かすコンピュータープログラミングなどを学び、遊ぶ。開成町のマンション「開成庭園の杜(もり)パレットガーデン」(493世帯)の保護者らでつくるASOBI(あそび)隊が企画、運営し、その代表を務める。
認知症など硬いテーマを取り上げる時もある。紙芝居や予防体操で楽しみながら、食べたのに「食べてない」と言う人への対処法を聞く。「さっき食べたでしょ」は禁句。「作るから待っててね」と、笑顔が大切と説く。関連のクイズでは、押すと光って音が鳴る早押しボタンで盛り上がる。
留学や家族の仕事で通算15年近く海外で暮らし、夫、3児と4年前に転入してきた。別の転入世帯らに声をかけ、すぐに活動を始めた。「映画鑑賞会も子ども主体で設営し、上映中につまむポップコーンを子ども自ら作っていた」というドイツの保育体験を生かす。季節行事もあり、各棟を巡るハロウィーンは前回、250人でにぎわった。
活動を通じてかかわった自治会で今春、町内で初の女性会長に選出された。3期6年務めた前会長の負担を知る十数人の男性候補は、全員辞退。「なり手がいないのは、女性に声をかけてないからでしょ」とも思う。本年度は役員6人のうち女性は4人に倍増し、男女比が逆転した。
ペーパーレス・SNSで業務削減、皆で回す自治会に
箱根町の美術館で週に2日働く。「子育て中のパート主婦にできるなら、自分もやろうと思う人が出てくる」。ペーパーレス、SNSで業務を減らし、皆で回す自治会を目指す。ホームページ開設も思い描く。
国が自助共助を強調する中、防災や福祉などで自治会に役割強化を求める考えには反発の気持ちが強い。「自治会間の格差は重圧になる。近隣の支援に気を使う住民もおり、ボランティアは町や社会福祉協議会が広域で差配する方がいい」と考える。
「ドイツや米国に自治会はなかった。本当に必要なのか」と問い続ける。海外で、友人らが「あなたに会えたからハッピーな一日になった」「会えてうれしい」と、笑顔で語ってくれた言葉を忘れられない。
問いの答えはまだ分からない。だが、かかりつけ医の範囲を尋ねてきた高齢女性に「ちょっとしたことでも相談しやすい」と言われ、ちょっぴりうれしい。
ASOBI隊
2017年に結成。春休みと夏休みに計25日ほど開き、毎回20人前後の小学生が参加する。団地内外の各分野の講師が日替わりで協力し、中学生や高齢者も集う。メニューは、割り箸鉄砲やスライムづくりなど多彩。昨夏はウェブ会議システム「Zoom」(ズーム)で、海外や帰省先を結んだ。県の「かながわ子ども・子育て支援大賞」の奨励賞を受賞。
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