小中学生の五輪・パラ観戦、見直し広がる 世田谷区長「大変困難で厳しい」 神奈川県では2市4町が中止

山下葉月、酒井翔平、志村彰太 (2021年6月16日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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「学校連携観戦プログラム」の中止を訴える「改憲・戦争阻止!大行進神奈川」のメンバーら。15日に要請書を神奈川県教育委員会に提出した=県庁前で

 コロナ禍の中、小中学生らが東京五輪・パラリンピックの競技を観戦することについて不安の声が上がる中、各自治体でも動きが出ている。東京都世田谷区の保坂展人区長は15日、区議会定例会で「今この状況のもとで行うのは、大変困難で厳しいものと考えている」と述べた。

保坂区長「子どもの安全を第一に考える」

 世田谷区教育委員会によると、区立幼稚園(8園)や小中学校(90校)の5~15歳約5万人が、東京都教委に観戦を申し込んでいる。各園や学校によって観戦種目が異なるため、区をまたいで移動する場合もある。都教委は公共交通機関を利用するよう求めている。

 この日、一般質問で風間穣議員(立憲民主)がただしたのに対し、保坂区長は「準備段階では、またとない機会だと思っていたが、現在は子供の安全を第一に考えようとしている」と強調。

公共交通機関を使うリスク 熱中症も心配

 コロナの第4波で子供の感染拡大が起きやすい英国・インド株が猛威をふるっていることや、公共交通機関を使うこと、熱中症の心配を理由に挙げ「子供の安全第一、リスクの最小化を最優先していく」と述べた。

 小中学生らを観戦させるかどうかは、区教委が今後、区長部局や各校長らの意見を聞き、方針を決める。

神奈川県内で平塚市、南足柄市、中井町、松田町、山北町、開成町が中止決定

 神奈川県内でも中止を決める自治体が相次いでいる。新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、子どもが会場に移動することで感染リスクが高まることへの懸念が生じているためだ。

「学校観戦プログラム」チケットが低額に

 競技会場のある自治体の児童や生徒が現地観戦する「学校連携観戦プログラム」は、大会組織委員会が、五輪ならチケットを1枚2020円と通常より低額で提供する。神奈川県教委などが補助するため、子どもはさらに低い価格で入手できる。県教委によると、県内では8万8000枚の申し込みがあった。

 ただ、新型コロナが収束の兆しが見えない中、14日現在で、平塚、南足柄、中井、松田、山北、開成の2市4町教委がプログラムの中止を決めた。

平塚市「校外学習を控える方針と矛盾」

 このうち平塚市教委は、横浜市で開かれるサッカーなどを小中学生らが観戦する予定で540人分を確保していた。「移動で感染リスクが高まる。感染拡大を受け、学校に市外での校外学習を控えるよう呼び掛けており、実施はその方針にも矛盾する」と話す。

 町内の一部が五輪の自転車ロードレースのコースになっている山北町教委は、ゴール会場の富士スピードウェイ(静岡県小山町)などのチケット510枚を予約していたが「変異株の増加が見込まれる上、会場が密状態になる恐れもある。子どもたちの安全を最優先した」と説明する。

「一生に一度の機会」相模原市は実施へ

 一方、今のところ実施方針を変えていない自治体もある。1800人分のチケットを確保した相模原市教委は「子どもには一生に一度の機会。教育効果も高い。実施する方向で調整している」と話す。ただ、感染対策には気を使う。中学生は保護者同伴の上、分散して公共交通機関で移動させる方針。「少人数で移動してもらうなど、感染リスクを低減させていきたい」

 また、川崎市は15日、市立中学、高校計9校の12の部活から420人分の観戦希望を受けていたが、感染拡大の懸念などから、190人分のキャンセルが出たと発表した。

 神奈川県教委は、市町村教委に対し、キャンセルする場合は23日までに報告するよう求めている。

「児童生徒の観戦中止を」元教員らの市民団体が要請書

 神奈川県内在住の元教員らでつくる団体「改憲・戦争阻止!大行進神奈川」などは15日、児童生徒が東京五輪・パラリンピックを現地観戦する「学校連携観戦プログラム」の中止を求める要請書を県教育委員会に提出した。

 要請書では中止を求める理由に「子どもの感染リスクを下げる」「引率する教職員の負担軽減」「医療崩壊を防ぐ」など5点を挙げた。県教委が中止を決断することで、市町村教委が倣うことを期待したという。

 品川孝司事務局長は「五輪自体をやめてほしいという声も増えている。外国人の観客がいないから、国際交流という意義も薄れている」と話した。

 同団体は近く、メンバーが住む横浜、相模原、横須賀の各市教委にも同じ要請書を提出する。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年6月16日

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コメント

  • 匿名 より:

    40人を1人で引率。駅まで30分の道のりを歩き、集団で電車に乗り、乗り換えをして、また会場まで歩く。真夏の炎天下の中、大人でもキツすぎます。
    会場で、トイレに行きたいと言われたら?体調不良が出たら?対応の困難さが目に見えます。
    子どもは、教師の話を全員が言うことをきちんと聞く、機械のようなものではないのです。

    この子どもたちを帰るまで1人残らず全員安全に帰宅させるまでが教師の責任です。
    現場にいないと想像しにくいでしょうが、教師は毎日自分の命をかけて40人の命を守っているのです。

  • 匿名 より:

    愚かな自治体や教師はかならず存在します。ご両親にお願いします。オリンピック観戦が強行される日はお子さんを休ませてください。また、ウイルスは、感染後症状がでるまでがもっとも感染力がつよいといわれています。したがってオリンピック観戦日から二週間はオリンピックを観戦した児童生徒との接触は避けさせてください。幸い夏休み中なので毎日学校へ行くことはないでしょうが、クラブ活動や塾通いには細心の注意をおこたらないでください。オリンピック観戦に行かなくても夏休み中のことなで新学期まで日数があり、オリンピック観戦した子供達の記憶も薄れ、イジメの対象にはならないでしょう。なによりも子供達の「いのち」が大切です。

  • 匿名 より:

    小中学生に日本で行われるオリンピックを観戦出来る素晴らしい体験を、コロナ感染を盾に安易に中止を叫ぶのは極端だと思う。昨年来より、自宅学習の日々が続いた子供達。家庭環境も様々変わる中で、たった一日でもオリンピックを肌で感じ、楽しみにしている子供達もたくさんいると思います。反対を声高にさけぶ教師の負担とは、責任とはなんでしょうか。オリンピックの観戦は教育的見地からも素晴らしい体験に繋がることです。不安を抱える保護者や参加したくない小中学生自身の気持ちを大切にするなら、観戦参加も各学校で任意で行えると良いと思います。

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