ヨシタケシンスケさんがあこがれの11人と対談「もりあがれ!タイダーン」 創作への思いを語り合う
飯田樹与 (2023年9月18日付 東京新聞朝刊)
人気絵本作家ヨシタケシンスケさん(50)が初の対談集『もりあがれ!タイダーン』を刊行した。イラストレーターや翻訳家など一線で活躍する著名人との対話を通して、今年でデビュー10年になるヨシタケさんの想像力の源泉や絵本づくりへの思いがうかがえる1冊だ。
糸井重里さん、かこさとしさんら11人
絵本情報誌『MOE』の不定期企画で、2016~2023年にかけてコピーライターの糸井重里さん、翻訳家の岸本佐知子さん、絵本作家・イラストレーターのモリナガ・ヨウさんら11人と対談した。いずれもヨシタケさんが「まねしたい気すら起きない、あこがれしかない」面々で、「一流の人とじかにお話しできるのは本当にご褒美だった」と笑顔で語った。
『からすのパンやさん』などで知られる絵本作家かこさとしさんとは18年に亡くなる1年前、創作の難しさややりがいを聞いた。絵本作家の鈴木のりたけさんとは思い入れの深い絵本を紹介し合ったり、断面図へのこだわりを語り合ったり。それぞれが表現と向き合う姿を通して、「その人にしかできないことがあり、(皆さん)それを見つけたんだなと。僕には僕で担当すべき場所があるとすれば、ちゃんとそこにたどり着きたいという気持ちにさせてもらえたことがうれしかった」と振り返った。
“ネガティブ発”創作スタイルを再認識
人をうらむ気持ちをポジティブに捉え直した『ころべばいいのに』をはじめ、ヨシタケさんの作品は読者に発想の転換を促し、気分を浮上させてくれるのが人気の一因。「僕は基本的にものすごくネガティブな考え方をしてしまう。だから『こう考えたらポジティブになるのでは?』と自分を説得するために本を作っている」と語り、あらためて“ネガティブ発”の創作スタイルが自分の個性と再認識したという。
タイトルは某ロボットアニメをほうふつさせる趣向。随所にロボットのイラストとともに「ゆけ!タイダーン!!」といった茶目っ気たっぷりのコラムも挿入され、対談の中身以外の部分も楽しめる。白泉社・1650円。
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