夏休みの子どもたちに食料発送 国際NGOが全国5000世帯へ 申込者の約9割「物価高で十分に買えない」

保母哲 (2024年7月18日付 東京新聞朝刊)
 子どもの貧困対策として、夏休みに入る児童らに食料を届けようと、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京都)が、千葉県船橋市内で支援品の発送を始めた。ひとり親世帯など生活の苦しい家庭が増えているため、今夏と冬休みに、全国の各5000世帯に届ける。
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支援品を整理し、箱詰めするスタッフ=いずれも千葉県船橋市で

夏冬の年2回、米やレトルト発送

 同NGOは、コロナ禍での支援策として2020年から首都圏のひとり親世帯を対象に食料品を送り、22年から全国に拡大。「子どもの食 応援ボックス」として、給食のない長期休暇となる夏休みと冬休み中の子どもたちに送っている。

 今夏に順次発送されるのは、企業24社などから寄せられた米5キログラム、乾麺、缶詰、レトルトカレー、お菓子といった食品のほか、シャープペンシルや消しゴムなどの文具。

 支援品の整理や段ボール箱への箱詰めなどの発送準備作業は今月2日から、ボランティアの協力も得て行った。

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「応援ボックス」に入れられる食料品など

格差拡大でひとり親世帯の苦境深刻

 「物価上昇で十分な食料を買うお金がない」89.4%、給食のない長期休暇中に「十分な量の昼食があまりとれていない」「とれていない」が計45.7%-。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、今夏と今冬に実施する「子どもの食 応援ボックス」の申込者にアンケートを実施。回答した8425世帯の結果から、ひとり親世帯の困窮ぶりが浮き彫りになっている。

 アンケートは、オンラインのフォームに答えてもらう方式で行った。回答者はひとり親世帯が94.2%を占めた。年代別では40代が48.9%、30代が32.3%、50代以上が15.0%。

 申し込み理由(複数回答)では、最多だった冒頭の「物価上昇で十分な食料を買うお金がない」に続き、「長期休暇で給食がなく食費が心配」56.9%、「経済的な理由で親自身の食事量を減らしている」56.7%、「給与・賃金が上がらず、十分な食料を買うお金がない」55.0%。

 昨年同時期と比べ、子どもの生活で物価上昇によるマイナスの影響を問う質問では、「大いにあった」50.7%、「ややあった」43.2%。子育てに必要な支援(複数回答)は「現金給付」64.5%、「小中高校生活にかかる費用の無料化」64.2%だった。

 子どもらの貧困が社会問題となる中、同NGOの川上園子・国内事業部長は「特に、ひとり親世帯の子どもの健康に影響が出ている。今春は過去最高の賃上げといわれたが、この世帯では所得が100万円未満の層が増えており、格差が拡大している」と指摘する。

 昨年4月にはこども家庭庁が発足し、今年6月には改正子どもの貧困対策推進法が成立したものの、国の対策はまだ不十分だとして、「貧困の実態にしっかりと目を向けてほしい」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年7月18日

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