【港区】卵子凍結費の助成上乗せ【杉並区】放課後の居場所を拡充【世田谷区】学校教員の負担軽減へ〈首都圏の子ども予算案2025〉

小沢慧一、浜崎陽介、佐藤航 (2025年2月1日付 東京新聞朝刊)
 首都圏の自治体では1月下旬から、2025年予算案が発表されています。東京すくすくでは、子育て関連の予算を中心に主な自治体の予算案をまとめて紹介します。今回は東京の港、杉並、世田谷の3区です。

港区 卵子凍結の費用、都の助成に上乗せ

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新年度予算案を発表する港区の清家愛区長

 東京都内初、23区初の事業を複数盛り込んだ。 

 女性が仕事のキャリアを積むことで35歳以上の高齢出産の傾向が高いことから、卵子凍結費用の助成に1144万円を計上。都の助成分に上乗せして助成するのは都内初となる。

 急な予約にも対応してもらえるマッチング型ベビーシッターの利用補助も都内初。7319万円を計上し、日中は1時間千円、夜間1500円をそれぞれ補助する。これまでの派遣型の利用補助では「ベビーシッターの都合が合わず必要なときに利用できない」との声があった。

 能登半島地震で新耐震基準の建物にも被害があったことや区民の9割がマンション住まいであることから、都内で初めて新耐震基準の分譲マンションで耐震性調査費を助成する。1棟の上限は450万円で4500万円を計上した。

 物価高に伴う人件費や資材価格の高騰などにより一般会計は過去最大規模となった。一方で人口増加に伴い、特別区民税収入も過去最高額となる987億円を見込む。清家愛区長は「一人一人の暮らしを大切にし、希望あふれる未来へ進む予算を編成した」と語った。(小沢慧一)

CG・港区予算案の目的別歳出

元記事:東京新聞デジタル 2025年2月1日

杉並区 放課後に小学生が校内で過ごせる場を

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新年度予算案を発表する杉並区の岸本聡子区長

 子どもたちの居場所づくりに力を入れる。その一つとして、小学生が放課後に校内で自由に過ごせ、児童館や学童クラブとは別の受け入れ先となる「放課後等居場所事業」を拡充する。新たに杉並第三、桃井第一、沓掛の3校で始め、民間委託費として7874万円を計上した。現在は17校で実施しており、2027年度までに全40校に広げる。岸本聡子区長は「どこにも居場所がないと感じる子どもが生じないよう、身近な地域に選択可能な居場所を用意していく」と話した。

 また、区立体育館やプールの子どもの利用料を無料化する方針を発表。26年度から、小中学生を100円から無料にし、対象を高校生まで広げる。ただしプールは夏季を除く。

 新たに低所得世帯への家賃助成を始める。区営住宅の抽選に落選した低額所得のひとり親や多子世帯に、年間30万円を助成する。転居費用が準備できない世帯への助成と合わせて、計1730万円を盛り込んだ。

 災害への備えを強化するため、防災用品カタログギフトを全世帯に配る。8月に発送予定。1世帯あたり3千円分の防災グッズを選べる。13億4945万円を計上した。(浜崎陽介)

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元記事:東京新聞デジタル 2025年2月1日

世田谷区 「学級経営支援教員」が小学校を巡回し若手育成

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新年度予算案を発表する世田谷区の保坂展人区長

 区立小中学校の業務を見直して教員の負担軽減を図るため、新年度から「働き方改革推進プラン」に着手する。その一環として、配置先の学校を固定しない教員「学級経営支援教員」を新年度から4人配置。普段は各小学校を巡回して若手教員の育成に当たり、欠員が出た学校があれば担任業務の補佐に入る。

 また、小学校高学年の「教科担任制」を導入し、新年度はまず2校で4人を配置する。特定の教科だけを担う「教科担任」を置くことで、これまで全教科を担ってきた小学校教員の負担を軽減する狙い。「学級経営支援教員」と合わせ、事業費約3300万円を盛り込んだ。

 不登校の子どもたちの支援策としては、中学生対象の「学びの多様化学校」と、小中学生の居場所となる「ほっとスクール」を旧北沢小学校跡地(北沢4)で来年4月に開設予定。「多様化学校」は学校教育法に基づく不登校の子どもたちのための学校で、子どもの要望に寄り添った独自のカリキュラムを展開するという。事業費約7億4500万円を計上した。

 一般会計当初予算案は、区役所本庁舎整備や子育て関連施策などの増加を受け、前年度比7.6%増の約3996億円で過去最大となった。(佐藤航)

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元記事:東京新聞デジタル 2025年2月8日

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