コロナ禍でキャンプ人口増加、目立つマナー違反や危険行為 初心者は「ごみ」「火の扱い」に気をつけて
包丁やフライパンまで捨てる人も
多くのキャンプ場では、ごみは持ち帰るのがルールだ。「生ごみだけでなく、包丁やフライパンまで捨てていく人もいる」。東京都奥多摩町の奥多摩観光協会の大沢新次さん(70)は嘆く。
大沢さんによると、自然豊かな奥多摩地方は都心から近いキャンプ先として人気。川沿いに無料でテントを設営できる場所もあり、新型コロナの緊急事態宣言解除後の6月ごろから愛好者が押し寄せている。
だが、河川敷にごみが放置され、悪臭がひどい。カラスも群がる中で、地元住民が清掃を続けている。周辺の路上駐車にも困っている。大沢さんは「あまりにひどいと川沿いでのキャンプが禁止になる可能性もある。必ずマナーは守って」と強調する。
直火は禁止 油は拭いてから洗う
「初心者の中にはキャンプの心得を知らない人もいる」と指摘するのは、岐阜県恵那市のキャンプ場「飯地高原自然テント村」の加納大士さん(36)だ。なるべくごみを出さないよう、野菜や肉は包装のラップやトレーを外し、繰り返し使える容器に入れて持参することを提案。皿に残った油をそのまま炊事場に流すと排水管が詰まることもあるため、「油は新聞紙などで拭き取ってから洗って」と呼び掛ける。
加納さんによると、最も気を付けなければいけないのは火の扱い。芝生の上で薪などを燃やす直火(じかび)は禁止で、炭や薪は専用のたき火台やバーベキューこんろに入れて火を付ける。火を消すときは、一気に水をかけると水蒸気が発生してやけどを負ったり、煙が出て周囲に迷惑になったりする可能性も。自然に火が消えるのを待つか、専用の「火消し壺(つぼ)」に炭や薪を入れて消火する。
キャンプ用品の事故は5年で183件 最多はコンロとガスボンベ
キャンプ中の事故は各地で起きている。北海道紋別市のキャンプ場では8月、雨よけなどに使う天幕「タープ」の中で炭を燃やしたまま、連結したテント内で寝ていた親子が一酸化炭素中毒で救急搬送された。
地元消防署によると、換気が悪く、酸素が不足した状態で炭を燃やしたり、ストーブなどで火を使ったりすると不完全燃焼となり、一酸化炭素が発生する。携帯発電機の排ガスにも一酸化炭素が含まれ、狭い空間で使用するのは危険だ。片岡建署長(55)は「テント内などの密閉空間では火災の恐れもある。これから寒くなるが、就寝前には必ず消火を」と注意を促す。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(東京)によると、2015~2019年度の5年間で、キャンプ用品の事故が183件発生した。
最も多いのはガスボンベを使うコンロの事故。ガスボンベは周囲の熱が加わると、中の圧力が上昇して爆発する恐れがある。3年前には愛知県内の10代男性がコンロをレンガで囲って使用中、周囲の温度が上がってボンベが破裂した。2台のコンロを並べた上に鉄板を置いて火を付けたり、コンロで炭の火おこしをしたりすることも厳禁だ。
今年はボンベに取り付けて炎を出す「ガストーチ」の事故も10件近く起きている。肉のあぶり焼きなどに使う道具だが、ボンベとトーチの接続が悪かったり、ボンベを逆さ向きや大きく傾けて使ったりするとガス漏れや異常燃焼が起こり得る。同機構は取り扱い方法をよく確認した上で使用するよう呼び掛けている。
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