子どもに大人気の「銭天堂」が人形劇に 川崎の「ひとみ座」が上演、会場に駄菓子屋も

神谷円香 (2022年4月3日付 東京新聞朝刊)
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「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」の一場面(人形劇団ひとみ座提供)

 70年以上の歴史を誇る川崎市の人形劇団ひとみ座が3月26~30日、同市アートセンターアルテリオ小劇場で、新作人形劇「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」を上演した。原作はアニメ化もされた子どもに大人気の同名の本(広嶋玲子作、偕成社刊)。会場には昔ながらの駄菓子を売る店も用意。鑑賞した子どもたちは舞台の外でも物語の世界観にひたった。

不思議な力を持つお菓子

 「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」の原作は、不思議な力のあるお菓子を売る駄菓子屋「銭天堂」が、老若男女さまざまな「幸運な人」の前に現れ、お菓子を買った人にそれぞれの効果を及ぼすオムニバス形式の物語。人形劇では、原作から「釣り鯛焼き」「怪盗ロールパン」「スピーチジュース」という3つのお菓子にまつわる話を選び、約1時間半の物語にまとめた。

 駄菓子屋の場面では舞台の中央にセットが現れ、店主・紅子が他より一回り大きな人形で登場。金色の招き猫たちの踊りも不思議な空気感を醸し出した。人形だけでなく時折生身の俳優も出演し豊かな表情を見せ、舞台を大きく使った多彩な演出で楽しませた。

アニメよりも本物っぽい

 会場の一角には、市内の駄菓子屋の協力で実際に駄菓子屋を開店。公演チケットに1人100円分の券が付いており、子どもたちは券を手に数十種類のお菓子から好きな物を選んでいた。

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会場の一角に開店した「駄菓子屋」で券を数えお菓子を選ぶ子どもたち=川崎市麻生区の市アートセンターで

 川崎市麻生区の小学4年平原和佳さん(9つ)は、本を愛読しアニメも見ている。「人形劇のほうが本物っぽかった。駄菓子屋さんは実際に行ったことがなく、憧れの雰囲気があった。本にはないせりふもあって面白かった」と喜んだ。母親の真理子さん(40)は「劇場に合う作品だろうなと思っていた。駄菓子屋は小学生のころ近くにあってよく行っていた」と懐かしんだ。

今後は全国へ 小学校でも

 バケツからたい焼きが釣れる「釣り鯛焼き」は動きもあり表現しやすいが、人前でうまく話せるようになる「スピーチジュース」の演出は人形劇向きではなく「役者の演技にかかっていた」と中村孝男座長(56)は話す。ただ、登場人物の小学生が、いじわるをしようとジュースをあげた同級生が逆に音読がうまくなり嫉妬するという、人の心の黒い部分を見せる話であり「アイテムが手に入った時にどうするか」を子どもたちに考えてもらうためにも「一番のテーマだった」という。

 公演は全国を回り各地の小学校でも上演していく。

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