ママはおならしたことないってほんと?〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉
「ママは、おならしたことないっていうんだけど、女の人だってするよね?」。日曜日の朝6時から、次男と三男がくだらないことを聞いてくる。
「いや、しないんとちゃうか」と妻の手前答えた。すると次男が、「まえしてたじゃん? パパも聞いたでしょ?」といってくるので、「あれか? あれは『へ』じゃない。『ぺ』や」といった。「『ぺ』ってなに?」と次男。この熱心さで勉強してほしい。
「『ぺ』は『へ』より少しいいもんや」と適当に答えると、「なにがいいの?」としつこい。「そりゃ、においがいい。あと、音もかわいい。それが『ぺ』や」といったけど、2人とも疑った目で僕を見ていた。
そんな小さなうそをつく妻を愛してやまないのが三男。四男という強力なライバルを得てから、ママを自分だけのものにしようと、必死になっている姿がいじらしい。
このまえも、三男はおもちゃの剣を持って、妻の周りをぐるぐる回りながら、「お姫様をまもらなくては」といった。お姫様が妻だということに気づくのに、妻も僕も時間がかかった。
またある時は、妻の肘の皮を引っ張って、「ママがおばさんになってしまう」と悲しんでいた。妻が笑って「ママはもうおばさんだよ」というと、「じゃあ、ママ、おばあさんになって、しぬの?」ともっと悲しんでいた。
先日、久しぶりに家族で静岡県の伊東温泉まででかけた。チェックインを済ませてエレベーターに乗ると、安心したのか妻が不意に「ぺ」をした。次男は妻のそれのことを「おぺぺ」とよんでいる。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。11歳、9歳、5歳、1歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
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毎月楽しみにしています〜 読んで笑って、子育て楽しもう〜!!と前向きになれます。素敵な連載 ありがとうございます。