君の夢は何? うちの4兄弟に聞いてみた〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉
「夢のない中年」。読むとさびしい感じがするが、自分のことだった。
先日、雑誌のインタビューで、「加瀬さんのこれからの夢を教えてください」と聞かれた。なかった。48歳。考えたら夢がなかった。
そうだ、子どもなら、きっと夢も希望もあるはず。さっそく、うちの子に夢は何か聞いてみた。
長男 「家を建てて住む」。えらく堅実だな。「建てた家にきょうちゃん(四男)と一緒に住む。かわいいから」。その頃には、四男もかわいい赤ちゃんではないと思う。
もう少し、プロ野球選手とか総理大臣とか、親が内心「無理やろ」と思うような、そんな壮大な夢を聞いてみたい。
次男 「虫だけ食べて生きる」。壮大ではある。SDGsでもある。庭のツツジの花の蜜をすったり、海で捕まえた「しらす」らしき魚をその場で口に放り込み、「生しらす、うまっ」とかいってる次男らしい。食糧危機も怖くないけど、次男の家に食事に招(よ)ばれるのは怖い。
三男 「すっごいこわいゆめいおっか?」。昨夜見た怖かった夢の話をしてくれた。話してる途中で「わすれちゃった」といって終わる。
四男 …は、まだ夢の中。「きょうちゃんの寝起きの顔って、なんでかわいいの?」と次男が聞いてきた。「君は寝てたらかわいいよ」と思った。
この4人を行きたいのであれば大学まで行かせ、自分で食べていけるようになるまで、なんとか僕の収入が続くようにしたい。
というのを、夢といえないまでも、目標ということにしておこう。そう思った、健太郎48歳の初夏だった。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。11歳、9歳、5歳、1歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
我が家の長男も四男にのみ激甘です。
でも確かに一緒に住む頃には
可愛い赤ちゃんではないぞよ。
お兄さんたちがピュアに末っ子をかわいいと思っている様子にぐっときました。