「子どもをたたいた」回数が減少 親を支援する理研のプログラムに注目 親子の関係改善に効果
親の抑うつ傾向も改善
理研は2016年以降、子どもとの関係に不安を抱える保護者らを全国から公募し、適切な関わり方を学ぶプログラムを受講してもらっている。昨年5月までに保護者125人が参加し、119人が修了。受講前と受講直後、さらにその1年後にアンケートしたところ、子どもの問題行動の減少や、保護者の抑うつの改善傾向も見られた。
未就学児の保護者25人に限定すると、「先週何回子どもをたたいたか」との質問に対し、「1回以上」が受講前は24.7%だったが、受講直後は16.4%、1年後は14%に減った。
ある母親は、子育ての悩みを役所で相談中に職員の目の前で子どもをたたいてしまい、理研のプログラムに応募した。子どもに発達障害があり、育児に困難を感じていたが、遊びを通して子どもとの良い関係をつくる方法を学んだ。関わり方が変わると子どもの行動が落ち着き、自分の抑うつ傾向も改善したという。
遅れている保護者支援
研究責任者の白石優子客員研究員は「国内では虐待された子どもを支援する研究は進む一方、保護者側の支援は遅れている。親が心の持ちようを変えられないと虐待は予防できない」と話している。
厚生労働省も来年4月施行の改正児童福祉法に保護者支援を位置付け、自治体によるプログラム提供への予算化も検討している。
心のてあて 虐待防止研究の現場から
児童虐待を食い止めるには保護者側の心を手当てすることが大切だとして、理化学研究所(埼玉県和光市)は、子どもとの関係に不安を持つ保護者らに、さまざまな支援プログラムで学んでもらう試みを行った。昨年5月までの約6年間実施した結果、たたくことが減るなど、受講者に変化が見られた。プログラムで何が変わったのか、受講した3人の保護者に前後を振り返って語ってもらった。
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