コロナ禍でDV相談が急増中 国立市のNPO、被害者のハンドメイド小物をネット販売して自立サポート
竹谷直子 (2020年9月26日付 東京新聞朝刊)
DVなどで居場所をなくした女性を支援する東京都国立市のNPO法人「くにたち夢ファーム」が、DV被害者らのハンドメイド商品のネット販売を始めた。DV被害者の自立、社会参加につなげたいとしている。新型コロナウイルスの感染拡大後、くにたち夢ファームへのDV相談が急増しており、売り上げの一部は被害の連鎖を止める活動に充てる。
「くにたち夢ファーム」がスペース提供 安心できる居場所に
ネットショップは、DVや虐待被害の当事者の希望を踏まえ、7月に開設。手編みのバッグやヘアゴム、レースの敷物など、それぞれが自由に作った小物を不定期に販売している。ショップのメンバーは5人で、半数以上が当事者。月に2回、くにたち夢ファームのオープンスペースで、商品を持ち寄ったり、運営方法を話し合ったりしている。孤立しがちな当事者が、交流を深められる場にもなっている。
夫の暴力から子どもを連れて逃げた女性メンバーは「DVから逃げていると、誰が夫とつながっているのかが分からないので、自分から話すのも、アクションを起こすのも難しい。安心できる居場所があり、参加できてうれしい」と話した。
月20件だった相談が80件超 「こんなことは今までなかった」
くにたち夢ファームのスタッフで、ネット販売を企画した佐藤マリさんは「被害に遭った人が自立を目指していくことをポリシーにしている。社会参加し、成功体験をする機会になってほしい」と期待する。
くにたち夢ファームでは、新型コロナ緊急事態宣言の解除と同時に相談が急増。以前は多くて月20件ほどだったが、6月に47件、7月に60件、8月は86件まで増えた。9月もすでに80件を超え、準備したシェルターもすぐに埋まってしまう状況だという。くにたち夢ファーム理事の遠藤良子さん(71)は「こんなことは今までなかった。寄付や市の補助金でぎりぎりなんとかやっている」と話した。
ハンドメイド商品の売り上げは、9割が製作者の収入になり、1割がNPO法人の活動資金に使われる。
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