東京都の教員応募が12年ぶり増加 受験資格の緩和が奏功したが…現場は「それより働きやすくして」
三宅千智 (2023年6月19日付 東京新聞朝刊)
2023年度実施の東京都公立学校教員採用試験で、応募者が9465人となり、前年度から27人増えた。わずかとはいえ増加に転じたのは12年ぶり。全国で教員のなり手不足が指摘される中、受験資格緩和などの対策が奏功した形だが、応募倍率は初めて3倍を切った。現場教員からは「応募条件を緩和するよりも働きやすくしていかなければ、優秀な人材は集まらない」との声が上がる。
免許不要の社会人枠は7.7倍に
東京都教育委員会が8日、応募状況を発表した。
受験者減少に歯止めをかけようと、教員経験者が10年以内に復帰する際に1次選考を免除する「カムバック採用」を新設し、117人が応募した。
教員免許のない社会人も受けられる特例枠には216人が応募。2年以内の免許取得を条件に2022年度から始めた制度で、2023年度は、対象を「40歳以上」から「25歳以上」に広げたことで7.7倍に増えた。
一方、倍率は過去20年間で最低
一方、応募倍率は2.7倍となり、過去20年間で最低だった。小学校の35人学級への移行などで採用見込み者数を増やしたことが理由。都教育庁の担当者は「今後も試行錯誤し、志願者が増えるような取り組みを検討したい」としている。
都内では、退職や休職による公立小の欠員が今年4月時点で計約80人に上っている。採用試験の応募者は2012年度以降、減少が続いていた。
都公立学校教職員組合(東京教組)特別区教職員組合の片桐育美執行委員長は「応募者が増えたといってもわずかだ」と指摘。自身も都内の公立中の教員として働くが、生徒の職場体験の受け入れ先を探すために依頼の電話を何十回もかけるなど、授業以外の業務に忙殺されている。
片桐委員長は職場の待遇改善を訴える。「途中で辞めてしまう新規採用者も後を絶たない。本質的に仕事内容そのものを減らし、授業に専念させてほしい」
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私は元教員で、組合員であったこともある。片桐氏の主張は全面的に同意。ただ、気になるのは組合が一枚岩であるかということだ。
例えば部活動指導の廃止を取り上げてみても、組合員の中に「部活動指導は私の生き甲斐」と考える教員が存在すれば、具体性の乏しい主張を「業務縮減」の署名活動で掲げることになるだろう。ことを先に進めるためには、組合自ら「組合員の減少やむなし」の覚悟でいる必要があろう。執行部の健闘を期待するものである。
因みに私は数年で組合を辞めたが、その理由は「拉致問題は重大な人権問題なのに、組合はなぜ取り上げないのか」(当時、組合は湾岸戦争反対の主張をしていた)という問いに私の在職した都道府県の執行部が上手く説明できなかったからであった。