中野洋昌衆院議員 女性の視点に立って社会を変えたい まずは議会のオンライン化から〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉
東京と地元を行き来 子育ては妻に集中
今回リレーコラムのバトンを受け取りました公明党の衆院議員、中野洋昌です。まずは、前回コラムを担当された音喜多駿参院議員からいただいた質問にお答えしたいと思います。
「子育てと仕事が両立できなかったり、妻と喧嘩をしてしまったり…どうしてもうまくいかなかったり、罪悪感を覚える瞬間が誰しもあると思います。多くの人がそういう失敗談こそ聞きたいのではないかと思うのですが(!?)、子育ての失敗談や、実は後ろめたさを感じている瞬間などはあるでしょうか? ぜひ教えてください!」
私には小学6年と4年の娘がいます。実は長女がまだ妻のおなかにいるときに出馬を決めまして、長女が0歳の時に初当選したので、子どもたちにとってお父さんはずっと単身赴任の人。東京と地元・兵庫で離れて暮らしつつ、私が週末に行き来している状態が続いてきました。
そうなるとどうしても妻に集中するのが子育ての負担です。なので、妻には基本的に後ろめたいといいますか…。妻が中心でやらざるをえない状況のなかで、どれだけサポートできるのかを日々考えています。
子育てってやることがいっぱいありますよね。それこそ日々それに追われる。朝起こしてご飯作って食べさせて学校に行かせて。帰ってきたら習い事への送迎をしたり、宿題をちゃんとやっているかどうかをチェックしたり、できていなかったら怒ったり、早く寝るように促したり。私は常にそこにはいられないのだけれど、妻がもしいなかったら自分がやらなければいけないことなので、そこはきちんと自覚して寄り添うようにしています。
もし2人とも働いていたら、きっと音喜多さんのように外部サービスを使って乗り越えようとしていたはずですよね。なので「僕はいられないから任せます」ではなくて、妻も夫も同じ思いで走っていけるように。そういう気持ちや姿勢が常に妻に伝わるようにすることが大切だと思っています。
と言いつつも、こちらの仕事が忙しく、夜もずっと予定が入っていたりすると、リアルタイムで妻が何に悩んでいるのかがわからない時もあるのですが…。妻は妻で議員夫人としての地元活動を多くこなしているので、とても忙しい立場ですし、政治家の家族の難しいところでもあると思います。
根強い男女の役割分担意識を変えたい
週末に地元と行き来しているという話をしました。ですが日中は後援会の方に会ったりさまざまな行事に出たりする活動があり、結局外を飛び回ることになります。なので、せめて、朝何時に子どもを起こして、大体何時からご飯を食べさせて、何時頃から習い事に行って…といった生活の流れを把握して、妻とカバーし合えるようにしています。
隙間時間に風呂掃除をしたり、子どもの宿題を見たり。やることは無数にあります。妻も山のようにやることを抱えていて、本当に分刻みで動いています。私としては、「あれやって」と言われる前に動けるようにしようと思って構えるのですが、なかなか難しい。そう考えると、女性の国会議員で共働き、子育て中のご夫婦は本当に大変だなと思います。
私のケースも含めて、各種調査を見ても、家事育児の負担が女性に偏っていることは明らかですよね。寝かしつけひとつとっても、女性任せになりがちなのが実情で、そのあたりの男女の役割分担意識はまだ根強いと思います。自戒の念も込めて、男性が主体的意識を持ち、男女関係なく同じ目線で臨むようにしていかないと、深刻な少子化の傾向は改善されないと思っています。
公明党が掲げた「子育て応援トータルプラン」でも、これまでの議論は、仕事と子育ての両立だったり、経済的負担の軽減だったりしたのに対して、やはりもう一段踏み込まないといけないということで、男女の性別役割分担意識そのものの是正も盛り込みました。
女性は家庭で、男は仕事さえしていればいいということでは社会全体が両立できない。男女共に育てて、男女共に働くという流れに向けて、男性も女性も育休をとりやすいようにしたり、会社も社会も全体で支えられるようにしたり。自分自身の経験も踏まえて、そういう方向に切り替えなければいけないと実感しています。
コロナ禍でのテレワークも、仕事と子育ての両立という面で非常にいいことがわかりました。休み続けるのではなく、柔軟にお迎えできたり、熱が出たときに対応できたり。そういう意味で、時短勤務やテレワークは有効です。子育てをしているから仕事はやりくりするというのが当然だね、という風に変わらなければいけないですよね。議会のオンライン化も自分は賛成の立場。委員会は委員長の権限でいろいろできたりするので、そういうところから変えていき、いずれは産休中の議員も質問できるような環境になればいいと考えています。
女性のキャリア形成 社会を変えないと
私が当選した10年前を振り返ると、子育て支援施策といえば、まずは待機児童問題の解消をしなくては、という段階でした。いまは実現した幼児教育の無償化も、当時は党として政府や他の党に働きかけている段階だったと思います。そういう意味ではこの10年でめまぐるしくいろんなことが変わったと思いますし、隔世の感があります。
今は、性別や世代を超えて多くの人が少子化問題や子ども子育て支援に関心を持っていただいています。このままのトレンドだと、国として成り立たなくなるという人口減少という観点からの議論もあり、より大事な問題として取り扱わないといけないという認識が広がっています。
もう一つ、強く感じているのは、女性の視点に立って社会をもっと変えていかないといけないということです。私はいわゆる就職氷河期世代で、団塊ジュニアのもうちょっと後ぐらいの世代です。女性が社会に出て活躍するのが当たり前の時代になり、それがどんどん進んでいますが、女性が働いて子育てをしながら、さらにキャリア形成をするっていうのは、とてもじゃないけど、社会が変わらないと難しいですよね。
多様なライフスタイルがあるなかで当然子どもを産まないという選択をされる方もいますし、もう子育てを終えた方もいます。今、政治の現場で議論していて思うのは、「いろんな方がこれからの日本のために、社会全体を支える」という方向に、もう一歩、進めていく必要があるということです。この国を維持するためには、子育て世帯だけの議論になってしまうとちょっと難しいなと思いますよね。やはりどうしても、みんなで支えていくことが必要になってきます。納得感を得ながら進めていくことが大事になると思います。
最後に次にバトンをお渡しする横沢高徳参院議員への質問です。横沢さんはみなさんご存じのようにパラリンピック選手として活躍された方ですが、一方で2人の息子さんを長い期間お一人で育ててこられたとお聞きしました。選手生活と子育てをどのように両立されてきたのでしょうか。ぜひ教えてください。
中野洋昌(なかの・ひろまさ)
兵庫8区、当選4回、公明党。1978年京都市生まれ。東大教養学部卒業後、国土交通省入省。米コロンビア大国際公共政策大学院修了。2012年12月の衆院選で初当選。同党次世代育成支援推進本部事務局長などを務める。妻、長女、次女が住む兵庫県尼崎市と東京を行き来する単身赴任生活。趣味は読書とトレーニング。
(構成:政治部・坂田奈央)
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