息子が恐竜にハマって人生変わった 主婦が自作した恐竜情報サイトが大人気 全国の博物館からラブコール
「恐竜キッズの入学準備」「恐竜ホテルの宿泊ルポ」など、親ならではの視点を生かした記事が特徴で、最高で月間19万PVを記録する人気サイトに成長しています。
IT知識も取材経験もゼロの「普通のお母さん」だったホウボウさん。転機は、コロナ禍の「不自由」から、生き方を見つめ直した体験にありました。
寝かしつけの後にコツコツと
「探究舎」は2021年4月に開設。「毎晩、子どもを寝かしつけてから1人で起きて、記事の執筆や更新作業をしています」。コツコツと書きためた記事は、現在100本以上が掲載されています。
特に人気なのは、各地の博物館や科学館などで開かれる恐竜展やイベントの開催情報をまとめた記事。「関東」「東海」などエリア別にまとめ、内容も頻繁に更新するので、週末のお出かけ先などを探すのに便利です。
他にも、親子での恐竜ごっこを盛り上げるための工作のアイデア、絵本やおもちゃのレビュー、動画配信サービスで見られるお薦め恐竜番組など、親目線と実体験が反映された記事が並び、恐竜好きの子を持つ親には即、役立つものばかりです。
「恐竜を知らない親」を応援したい
ホウボウさん自身、現在小学1年生の長男が恐竜にはまった4年前は、恐竜についてほとんど何も知らなかったそうです。
「うちのように、子どもが先に興味を持った場合、親は事前知識がありません。子どもの興味を支える親御さんを応援するメディアを作りたい」
そんな思いから立ち上げた探究舎。個人運営としては少し変わったサイト名には、趣味的なブログではなく、多くの人の役に立つ継続的な場にしたい、という思いも込めたそうです。
サイト立ち上げのきっかけは、コロナ禍の子育てで体験した「不自由さ」でした。
コロナ禍で「体験」を求めて
2020年4月。新型コロナウイルスの感染拡大により政府が初めての緊急事態宣言を出し、「不要不急」のかけ声とともに多くの人が行動制限を余儀なくされました。ホウボウさんの長男も、幼稚園入園が延期に。
「公園で綿毛やシャボン玉を吹くのさえ、周りに人がいるとためらうような、異常な日々でした」。何度か連れて行った国立科学博物館など、展示施設の多くも休館になりました。
恐竜、古生物だけでなく生き物全般が好きな長男。「3歳は外に目が行く時期。子どもには、体験することが何よりも興味のきっかけになる、
その頃、全国の博物館などは、ネット動画や工作のアイデアなどを提供する企画「おうちミュージアム」を開始。ホウボウさんも親子で楽しみました。一方、「コロナ禍で博物館が経営難」といったニュースも目にするように。「
「恐竜サイト」を生んだ3つの思い
そしてコロナ禍は、自分の働き方を見つめ直す機会にもなりました。
まだワクチンも開発されておらず、この状況が何年で収束するのか、誰にも分からない時期でした。出産を機に離職したものの、いつか仕事を再開したいと以前から考えていたホウボウさん。
「パソコン1台でできる仕事なら、感染拡大で学校が休校になっても家で子どもを見られるのでは」と思うようになりました。
親子の体験の支援、博物館への恩返し、自宅でできる働き方。その3つが重なり、2021年に「親子向け恐竜情報サイト」として実現します。
ただ、その前に大きな課題がありました。
「エクセルも苦手」から独学で
ホウボウさんは、ネットやパソコンがあまり得意ではありませんでした。
大学では教育学部に通い、卒業後は損害保険会社に入社。自動車保険の支払い業務の担当として8年働き、2016年、長男の出産を機に退職しました。会社員だった当時は「(一般的な表計算ソフトの)エクセルも苦手」でした。
最初は「ウェブサイトの作り方」をネットで検索することから始まりました。解説サイトやYouTubeの動画などで学び、どうしても分からないことは有料のオンライン講座に参加して質問をぶつけました。
ちなみに、ホウボウさんの独学はこれが初めてではなく、長男が1歳になる頃、「子どもの発育について理解するために」半年ほど勉強し、保育士の資格を取得したこともあります。
予想外のPV急増 そのワケは?
サイト制作の知識を蓄える一方で、「
趣味のブログではなく、経済的にも持続可能な恐竜情報のメディアを、自分で作れないだろうか──。
2021年4月に探究舎を開設すると早速反響が。6月には月間PVが1万を超え、さらに7月は3万弱と、予想もしなかったペースでアクセスが急増。「こういうサイトをずっと待っていた」といったコメントも寄せられました。
「たぶん、コロナ禍の影響もあったのでは。『体験』ということにみんなが貪欲になっていたんだと思います」
スポンサー獲得 恐竜学者に取材も
アクセスの増加によってサイトがさらに充実する好循環も生まれました。
長男のランドセルを探すうち、福井県の会社が製造する「恐竜ランドセル」にほれ込んだホウボウさん。同社に「うちのサイトに広告を出してみませんか?」と直談判し、スポンサーを獲得しました。
また、恐竜展のメディア向け内覧会に参加するには肩書があった方が有利だと考え、出版大手の小学館にウェブライターとして自身を売り込み、寄稿するようになりました。
資金面で余裕が出たことで、自分では取材に行けなかった長崎県の恐竜展の記事を現地のライターに寄稿してもらうことも可能に。
そして今年1月には、国立科学博物館副館長で、テレビなどでも知られる恐竜学者の真鍋真さんに単独インタビューを敢行。「その日の朝は緊張しすぎて吐きそうでしたが…(笑)。ただのお母さんがこんな経験をさせてもらえるなんて、それだけでもサイトを作った元を取ったな、と思いました」
子どもの興味が変わっても続けたい
元はと言えば、「わが子が恐竜を好きになった」というごく普通の出来事から出発したサイト。子どもの興味はいつか別のものに移っていく可能性もありますが、もしそうなっても「探究舎はずっと続けていきたい」とホウボウさんは話します。
「子どもの興味をきっかけに始めたサイトでしたが、
今後の目標は「日本全国を網羅すること」。まだ長男は小学1年、長女は4歳と手のかかる年齢で、
さらに「海外の博物館も紹介したい」という夢もあるそうです。「今は国内のみを紹介していますが、
ホウボウさん
東京都世田谷区出身、在住。6歳の長男、4歳の長女、夫と4人暮らし。親子向けの恐竜情報をウェブサイト「探究舎」やInstagram、X(旧Twitter)で発信している。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
とても素晴らしい!!
サイトも見やすくて、未経験の方が作ったとは思えませんでした。
これからも素敵なサイトを運営していってください。
とても読みやすく分かりやすいです。これだけの情報量をお一人で、ましてや子育て中のお母様が立ち上げたとは…私も子育て中なのですが寝かしつけ後に作業をするのは並大抵の努力では成し得ない事だと思います。そして個人的に嬉しかったのは地元の施設が紹介されていた事です。とても素晴らしい施設なのですが立地が少し分かりにくいのかあまり知られていないようでした。そこにコロナ禍と重なってしまいさらに拍車がかかったように思えて心配だったのです。探究舎さんは地方施設の発展にも貢献していますね!
今後もホウボウさんのご活躍から目が離せません。同じ子育て中の主婦としても応援しています!!
恐竜好きがためになるサイト運営ありがとうございます。