こどもNISAを始める前に必要な「ライフデザイン」とは? 結婚、収入、推しに課金…金融経済教育で学ぶ生活設計

中沢佳子 (2026年4月17日付 東京新聞朝刊)
 来年には18歳未満でも利用できる「こどもNISA(少額投資非課税制度)」が開始予定など、若い世代への金融経済教育の必要性が一段と高まっている。ただ、問われるのは、「何のためにお金について学ぶのか」という原点。学校の授業で行われる金融経済教育では、資産形成の知識の前に、自分らしい生き方を思い描く「ライフデザイン」の視点を組み込んだ学びの動きがある。
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ライフデザインの視点を組み込んだ「人生とお金の学び」のゲームを体験する生徒たち=東京都豊島区で

限りあるお金と時間 人生体験ゲームで

 「保険って入る? 私ならNISAやりたいな」。東京都豊島区の飛鳥未来高校池袋キャンパスで、3年生23人がそんな会話を交わしている。この日は、子どもたちへのを手がける「ブロードマインド」(渋谷区)が、自社開発の人生体験カードゲーム「ライフプロデュース」を使った出前授業を行った。テーマは、限りあるお金と時間をどう使うかだ。

 生徒はまず「推し活」「海外旅行」など計20項目から人生の望み3つを決め、就職や結婚などライフイベントのたびにさまざまな選択をしながら、望みの実現を目指す。選択肢それぞれに必要な「お金」と「時間」の設定があり、手持ちのお金と時間を考えて選ぶ。高収入でも多忙な職業は、望みをかなえる時間が取れない。逆に、自由な時間はあっても収入が低いと、望みを実現するお金に困る。ゲームは2回行い、初回の反省を踏まえた人生の「再設計」も経験しながら、自分の価値観を明確にしていく。

 「お金が多くもらえても時間がなければ意味がない」「お金も時間も計画的に使わないと」。生徒から実感のこもった感想が相次ぐ。「人生の出来事にどのぐらいお金と時間がかかり、選択でどう変わるのかを知ることが大切」と講師を務めた同社社員。自分の価値観を明確にし、人生の見通しを立てる力が「お金の学び」の土台になる。自分の価値観を実現するため、生活を設計し、準備する大切さを学ぶことを目指す。

選択肢が多様化…モデルコースはない

 学校では学習指導要領に基づき、家計管理から資産形成までお金を巡る知識を教えている。一方、政府は自分らしい将来像を描く「ライフデザイン」の重要性を唱え、こども家庭庁でも有識者検討会を設けて実現の支援策を検討している。

 第一ライフ資産運用経済研究所の鄭美沙(ていみさ)主任研究員は「人生の選択肢が多様化し、もうモデルコースはない。個々の価値観に沿って自分の将来像を考える視点が不可欠になった」と説明。どう生きたいかを思い描き、進学や仕事、家族について計画を組み立て、必要な手段やお金など生活設計を考えることが大切だという。

 鄭氏は生活設計が金融リテラシーの一つだとした上で、金融経済教育にライフデザインの視点を取り入れる必要性を強調する。「投資や資産形成に焦点が当てられがちだが、自分らしい人生を選び取る力を育てるのが、本来の金融経済教育。生活設計を基に、家計管理や適切な資産形成を体系的に学ぶことが重要だ」

グラフ ライフデザインをしたことがないのはなぜ?

ライフデザインをしなかった理由は?

 こども家庭庁が2025年11月、15〜69歳を対象にした調査によると、働き方や暮らし方の情報を得てライフデザインを考える機会について、どの年代も4〜5割が「必要」と回答した。実際に「欲しい」という人は、10代は43.7%、20代も39.6%と若年層ほど多い。

 ライフデザインをした人に計画通りに進んだことを尋ねると、「結婚か独身か」(42.9%)、「就職、転職」(39.6%)など家庭や仕事関連を抑え、「収入、貯金」(43.8%)が最も多い。一方、していない人の理由で上位は「そもそも考えがなかった」、「きっかけがなかった」の回答で、視点や機会の不足が浮き彫りになった。

 また、中高生から社会人10年目まで4つの時期に分け、ライフデザインをする上で必要とされる情報を時期ごとに尋ねると、働き方や結婚、育児関連は時期で差が出る半面、どの時期も約3割に上ったのが、「資産形成・運用」。お金の情報はどの時期でも一貫して必要とする意識があり、ライフデザインを考える上で金融経済教育は切り離せないことがうかがえる。

元記事:東京新聞デジタル 2026年4月17日

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