崩壊寸前の保育現場、教育格差… コロナ禍でくっきり表れたのは、以前からあった問題では?〈東京すくすく2周年 編集長から〉
一斉休校に動揺 読者の思いを共有
東京すくすくは今月、開設2周年を迎えました。記事を読んだり、コメントしてくれたりする皆さまにあらためて感謝しています。2回に分けて、この1年を振り返り、編集チームが感じたことをつづります。
新型コロナウイルスの感染拡大に社会が揺れ続けたこの半年。不安が高まり始めた2月には、家庭での基本的な感染防止策などを伝えるよう心掛けました。
その後、政府が一斉休校を決めると、子育て層には動揺が広がりました。3月初めに実施した緊急アンケートには、子どもの運動不足や精神的な落ち込みを心配する声が多く集まりました。困っていることだけでなく、試してみて良かったことや失敗したことも回答してもらい記事にしました。読者の思いや知恵を共有し、「私だけじゃない」と感じてもらいたい、一緒に乗り越えていけたら、という思いがありました。
公園の遊具の使用禁止めぐり賛否両論
公園の遊具や広場の使用禁止なども相次ぎ、子どもたちの居場所が狭められていく事態に。編集チームでモヤモヤした気持ちを語り合い、座談会記事として発信すると、「感染対策なのだから我慢すべきだ」との批判も少なからずありました。一方で「少しホッとした。こんなふうに子どもの遊ぶ権利を大事にする考えがあるんだ」という声も。「家庭によって考え方や価値観が違うのは当たり前。敵対するんじゃなくて、自分もOK、相手もOKでいきたい。どんな立場の人もみんなできる範囲で頑張ってると思うから」とのコメントに今、大切にしたい姿勢だと学ばされました。
小中学生の親を中心に関心が集まったのは、休校中の課題やオンライン授業のあり方でした。「子どもに新しい勉強を教えながら、家事も仕事もはできません」。休校が延長された5月、大量の課題に追われる親子の実態を伝えた記事には、こんな悲鳴のようなコメントがあふれた時期もありました。
不安の中で、子どもにどう向き合うか
社会の中で不安や焦りがパンパンに膨らんでいるとき、どう子どもと向き合っていったらいいのか。一つ一つの記事から、そのヒントを少しでも感じ取ってもらえたら、との思いでコロナに関する記事を編集してきました。崩壊寸前の保育現場、家庭の経済状況による教育格差、子どもに主体性を求めながら、大人の都合が優先される社会…。コロナ禍で、くっきりと表れたのは、それ以前からあった子育てをめぐる課題ではないでしょうか。
こうした課題を解決するのは簡単ではありませんが、共有し、発信していくことが力になるのだと思います。すくすくもその一端を担えるよう3年目も工夫を重ねていきたいと考えています。(東京すくすく編集長)
※次回はすくすくで反響の大きい「産後クライシス」をテーマに、22日に掲載します。
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