子ども1人あたり5万円 低所得のふたり親家庭にも特別給付金 世論を受け政府が方針転換
大島宏一郎、坂田奈央 (2021年3月17日付 東京新聞朝刊)
政府は16日の関係閣僚閣議で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の長期化を受け、困窮する家計に対する緊急支援策をまとめた。所得の低い子育て世帯を対象に子ども1人当たり5万円を支給する「特別給付金」が柱。再支給を求める世論の高まりや与野党の要望に押され、政府は再支給に否定的だった従来の方針を転換させたが、野党からは中小労働者への支援策は不十分だとの声も上がる。
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ひとり親限定、菅首相も慎重だったが
低所得の子育て世帯に対する給付金は、これまでひとり親世帯に対象が限定されていた。ただ、NPOからは「二人親の家庭に対する支援がない」という声が続出。これを受け政府は、低所得で住民税の納税が免除される二人親世帯も給付対象に加えた。支給額も、第二子以降は従来の3万円から5万円に引き上げ。本年度内の支給開始を目指す方針だ。
政府はこれまで、収入の減った人が生活資金を借りる制度の存在を理由に給付金の再支給には否定的だった。菅義偉首相も今国会で「最終的には生活保護という仕組み(がある)」と慎重な姿勢を示していた。しかし、与野党の再支給を求める声を受け方針を転換。厚生労働省の幹部は「ひとり親以外の子育て世帯も困窮しているといった指摘を踏まえた」とした。
休校にまつわる支援金は個人申請可に
支援策ではこのほか、コロナで休業や失業した人が資金を無利子で借りる「総合支援資金」や「緊急小口資金」の申請期限を6月末までに延長したほか、新しい職を探すひとり親への住宅資金の貸し付けも新設した。子どもの休校で仕事を休む人への助成金は、会社ではなく個人が直接申請できる仕組みを導入した。一連の支援策の財源には、予備費約5000億円を充てる。
政府のまとめた緊急支援策に対し、立憲民主党の石橋通宏氏は参院厚生労働委員会で「(中小の労働者を対象とした)休業支援金の拡充が入っていない」と批判した。同支援金の昨年分の申請期限が3月末に迫っているにもかかわらず、予算執行率が約15%にとどまっているとして、「休業支援金をより多くの人に届けるべきだ」と注文を付けた。
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