「はし」と「はし」はちがうよ 外国ルーツの子どもに「にほんごワーク」 日本語教育のプリントをサイトで無料提供
奥野斐 (2021年7月14日付 東京新聞夕刊)
外国にルーツがある日本在住の子ども向けに、無料の学習プリントを提供するウェブサイト「にほんごワーク」を東京都内の公認心理師やデザイナー、保育士らのグループが開設した。かるたや間違い探しで、日本の言葉だけでなく、文化やマナーも楽しく学んでもらおうと意識した。「学校や地域の日本語教室で、ぜひ使ってほしい」と呼び掛けている。
心理専門家、デザイナーらが企画
開設の中心になったのは、都内の療育センターや学校で子どもの発達相談に応じてきた公認心理師の古島(ふるしま)千尋さん(32)と、発達支援相談員としても働くデザイナーの渡辺千晶さん(30)。
サイトには「はぶらし」「ちゃわん」など日常生活で使う名詞や、「はし」「あめ」といった同音異義語のかるた、正しい絵と動詞、形容詞をつなぐ学習プリントなどを掲載。マナーの間違い探し、保護者向けに子どものアレルギー食材を指さしで教員に伝えられるカードなども含め、全部で約40種類ある。サイトは広告費で運営し、全て無料で印刷できる。
マナーやルールも学べるよう工夫
古島さんは、子どもの発達に関する相談を受ける中で、外国にルーツのある子の学習や生活の困り事が目立つ一方、指導ノウハウに乏しい教員も少なくないことを知った。日本語教室の見学や専門家から教材が不足していることも聞き、約3年かけてプリントやサイトを作った。
「心理の専門職の視点を入れ、円滑なコミュニケーションを手助けし、日本で生きていくスキルを高められる教材になるように工夫した」と古島さん。中には「どうしてだと思う?」と日本社会のマナー、ルールについて考えて、文章に書くプリントもある。
人種や見た目に配慮したデザイン
サイトのデザインを担当した渡辺さんは、人間のイラストには肌の色を付けず、体形もあえて棒のようにするなど人種や見た目に配慮した。「子どもたちが少しでも過ごしやすい日本社会にしていきたい」と語る。
コロナ禍の中、自宅学習でプリントを利用したり、来日できなかった子が日本語の勉強のために使ったりしているという声も届いている。2人は「子ども同士や先生との会話が生まれ、お互いが理解できる社会になるきっかけにサイトがなれたら」と望んでいる。
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