埼玉の「カマキリ先生」がお面をかぶる理由 小学生の好奇心を引き出す昆虫愛
お面&紙芝居で子どもの心をつかむ
授業では、まず手作りの紙芝居でカマキリの一生を紹介する。3年生はちょうど理科の授業で昆虫について勉強する学年。主にモンシロチョウについて学ぶが、幼虫からさなぎを経て成虫になるチョウと異なり、カマキリはさなぎにならずに成虫になる特徴がある。同じ昆虫でも違いがあることを知ってもらおうと、「カブトムシはさなぎになるかな? トンボは? ホタルは?」と内容を広げる。
インパクトのあるお面を着けるのは「子どもたちに感動を与えたいから」。狙い通り、この見た目と分かりやすい紙芝居との組み合わせは大当たり。子どもたちの関心を一気につかみ、質問も次々に出てくる。
授業に赴いた小学校では、1カ月ほど「こども移動昆虫館」も実施する。大熊さんが理科の教員になった50年前から収集してきた、昆虫を中心とした標本を展示。理科だけでなく音楽の「赤とんぼ」など、さまざまな教科、学年の教科書に出てくる昆虫延べ92種類がそろう。
実際に昆虫を見る経験が乏しい子どもたちに親しみを持ってもらいたいとの思いから、定年退職して数年後に標本の整理を始めた。状態が悪いものは除き、一つ一つに名前の札をつけ、学年ごとに学ぶ昆虫に分けて仕上げた。子どもたちは授業や休み時間に標本を見て、昆虫の大きさや色、形を学んでいる。
「10歳ごろまでの自然体験が大切」
長年、教育現場に携わった大熊さんは「子どもたちが実際の虫を見て感動し、好奇心を持つ機会に欠けている」と危機感を持つ。脳の発達には、好奇心が旺盛な10歳ごろまでの自然体験が大切だというのが持論。大熊さん自身は小学生のころ、自宅の庭に幅50センチほどの池を造り、捕まえたヤゴやアメリカザリガニ、ドジョウなどを放して観察した経験がある。
昆虫は捕まりそうになると身を守るために闘う姿勢を見せたり、逃げようとしたり、それぞれ違った行動を見せる。そうした反応の観察によって好奇心が刺激され、他の生きものへの関心が生まれ、学びが発展する―。一見コミカルなカマキリのお面の下で子どもたちの成長を願う。
「人間も昆虫も重なり合って自然というものができている。もっと昆虫に親しんでもらいたい」。そんな思いを込めて今後も授業を続ける。
大熊光治(おおくま・みつはる)
1947年、加須市生まれ。埼玉大教育学部を卒業後、県内の中学校に理科教諭として勤務。長年、水生昆虫の調査にも取り組んでいる。自身が館長を務める「こども移動昆虫館」は夏の間、長野県山ノ内町の動く歩道「スカイレーター」を降りたところにある小屋で開かれている。無料。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
昨日あぶらぜみが大きな欅の木に
私の手の届くところにとまっていた、私は右手に日傘、空いている左手でそっとあぶらぜみを上手く捕まえる事に成功した、行き交う親子に、『 ねえ、この蝉を観察してみない? 』と二組の親子に勇気を持つて話しかけてみた、残念なことに、虫が嫌いという返事がかえってきた、とても残念な気持ちになった、手にとって触り、まだ生きているセミに触れることなど良いチャンスなのにと、チャンスを手からこぼしてしまっているなあとおもいました。