中学校にアンガーマネジメントを導入した校長の思い 生徒の「怒り」の原因を知れば、いじめも減らせる
怒りの裏側にある「不安」「焦り」
きっかけは、23区内の中学校の副校長だった約10年前。いじめや生徒間のいざこざが起き、対策が求められていた。同校のスクールカウンセラーから、アンガーマネジメントを提案された。
スクールカウンセラーに教員向けの講座を開いてもらった。「怒りの裏側には不安や心配、焦りなどの原因があり、それを知ることが大切」との説明にカルチャーショックを受けた。教員たちが生徒に指導を実践した後、生徒間の大きなトラブルは減った。
「効果はある」と手応えを感じたが、当時はアンガーマネジメントの子ども向け教材はなかった。スクールカウンセラーらが一般社団法人「アンガーマネジメントジャパン」を立ち上げると、やさしい言葉に置き換えた子ども向けテキストの作成などに協力した。
抑えるのではなく、うまく付き合う
アンガーマネジメントについて「怒りを抑える方法と思われがちだが、そうではなく、怒りを知り、うまく付き合うこと。人は完璧主義だったり、白黒をはっきりさせたがったり、考え方に癖があり、怒りの原因になる。それぞれ考え方が違うことを理解し、相手のことも考えるプログラム」と説明する。
怒りのコントロールは、いじめ対策にもなると考えている。「相手への怒りが起きるのは、自分の考えに相手を引っ張り込んでいて、考え方の違いを認めていないから。学校教育に取り入れ、相手を認めるようになれば、いじめを減らすことができる」
生徒が「『アンガー』思い出そうよ」
金井中に赴任した6年前から、教材を使って各学年でアンガーマネジメントの指導をしている。年間5回の授業を受けた多くの生徒から「社会に出てから役に立つ」との感想が聞かれた。生徒間でトラブルが起きそうになり「『アンガー』を思い出そうよ」と言って治まったケースも。保護者からも「家でいざこざがあった時、子どもに『アンガーマネジメントを勉強した方がいいんじゃないの』と言われてしまった」との声が寄せられた。
金井中での実践だけでなく、町田市内外での講演活動もしている。八王子市などで学校への導入が始まり「できれば全国に広めたい」と考えている。
アンガーマネジメントとは
1970年代に米国で始まった教育プログラム。家庭内暴力の対応策や矯正プログラムとして導入された。2000年ごろから、より一般的なプログラムが普及し、国際的に広まった。教育分野でも、いじめや暴力の予防教育として使われる。
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若い頃は自分の感情に振り回されてしまうことが誰しもあると思います。
そのようなコントロールが難しい複雑な感情と向き合えるのは誰よりも自分自身ですが、同時に向き合い方を知らない年代なので、アンガーマネジメントを教育の一環として取り組んでいくのは素晴らしいと思いました。
自分と真剣に向き合うほど、他者へも寄り添えるようになるのではないでしょうか。
これからを期待しています。