〈坂本美雨さんの子育て日記〉62・私の体のこと、ママが決めつけるのはおかしい
絵に描いたような、夏の思い出
はじめての小学生の夏休み。長崎で稲佐山平和祈念音楽祭に出演し、その前後で母娘旅をした。長崎に住む大好きなネコ友達の家に泊まると、本当の親戚のように娘をかわいがってくれる仲良し姉妹が至れり尽くせりの計画を練ってくれていた。
お弁当を持って少し遠出して軍艦島の見える浜に連れて行ってもらい、たっぷり海につかってうっかり日焼けして、夜は家の前で花火して、絵に描いたような夏の日! フェスを一日満喫して、次の日は電車に揺られてガタゴト、佐賀県有田町へ。6月に出版した、この連載を一冊にまとめた本「ただ、一緒に生きている」のイラストを描いてくれた岩永ハナエさんと子どもたちに初めて会いに向かった。
インスタグラムの絵日記でファンになり、メッセージを送り合い、本での共作に発展。直接会ったことはなかったものの、アーティストで同い年、歳の近い娘もいることから特別な友情を育んできたハナエさんとの初対面がかなったのだった。やっと会えたね、と、娘同士が遊ぶ姿に目を細めながらゆっくりお互いの人生の話に花を咲かせる…はずだったのだが、気の強い娘たちのこぜりあいに振り回されていたら、気づけばお別れの時間ではないか。「あれ? わたしたち…ほとんど話してなくない…?」「だよね…」と呆然としながら、今に全力なまぶしい少女たちを見つめる。これもまた、忘れ難い思い出だ。
「足を閉じて」と注意したら…
そしてやはり、日常は毎日バトル。昨日は、カフェで足を広げて座る姿に、スカートの下にブルマーをはいてるとはいえ、足を閉じてと注意すると、なんで?と言う。恥ずかしいでしょ、と答えると「なんで恥ずかしいってママが言えるの? ママのからだのことじゃないでしょう! ○○ちゃんのからだなのに!」と打ち返してくる。お、おう…としばし絶句。なんとか威厳を保とうと、とりあえずニラミだけ利かせる。
プライベートゾーンの話は家でも学校でもされていてそのへんの理解はあるようなのだが、「わたしの体のことで、ママが恥ずかしいと決めつけるのはおかしい」というのは、その危険性やそもそもの振る舞いとしての品の話は置いておくとして、主張自体はまっとうである。このようにいちいち既成概念を疑ってくるので、一瞬思考が宙に浮くような瞬間があり、説明に時間がかかる。こんなに暑いと、頭の回転がのろのろになってしまうなぁ…。(ミュージシャン)
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい