疲れていると、絵本の読み聞かせが苦痛です〈宮里暁美の子育て相談〉

(2023年3月21日付 東京新聞朝刊)

ひとりで悩まない 宮里暁美の子育て相談

 同じ本を何度も読みたがって…

Q 絵本の読み聞かせは必要でしょうか。親が楽しそうにして読まなければと思いつつ、私も夫も仕事で疲れているとつらい。子どもが同じ本を何度も読みたがるのも苦痛です。(3歳男児、30代母親)

イラスト 絵本を読む子ども

イラスト・永須華枝

無理しない。親が寝落ちしたってOK

 仕事と家事、育児をこなしつつよい子育てをしようと思うから、「読んで」と持ってきた絵本を「楽しそうに読まなければ」とがんばろうとしている。「もう一回!」が繰り返されれば「いいかげんにして」と叫びたくなる、その気持ちとてもよくわかります。だから今回の回答は「疲れていたら無理しない方がいいよ」ということになります。

 そのことをお伝えした上で、絵本について考えてみたいと思います。

 ページをめくると広がる世界の不思議、その世界を自分の手で持っているという実感が得られる絵本は、子どもにとって魔法の扉なのかもしれません。子どもは絵本を読んでもらいたがります。まだ文字が読めないからというだけではないように思います。お母さんやお父さんの声で聞く「物語」は、豊かな記憶として子どもたちの心に残るのだと思います。それは豊かな感性や知性の育ちに大きな影響を与えます。

 あなたには「思い出の絵本」がありますか? 休日に図書館に行かれることがあったら、ぜひ思い出の絵本探しをしてください。「あ、これこれ!」を見つけてページを開き「何しているの?」とお子さんが言ってきたら「これ、大好きな絵本だったのよ」と教えてあげてください。その絵本をお子さんと一緒に見られたら、きっと特別のうれしい時間になると思います。

 ところで、私はどこでもすぐ眠りにつけるという特技を持っています。だから、眠る前に読んであげようとした絵本を最後まで読めた記憶がないのです。絵本半ばで眠りについた母親のそばでわが子は静かにページをくり、絵を眺め、静かに眠りにつく。わが家の夜の風景でした。(文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)

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なるほど!

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グッときた

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もやもや...

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