「水泳授業は校外の屋内プール」猛暑で熱中症、紫外線も心配…小学校で広がる切り替え 多摩市は全校で
場所も指導も民間スポーツクラブで
「バタ足を練習しよう」
「腕を伸ばしてね」
7月上旬、多摩市の京王線聖蹟桜ケ丘駅近くにある民間スポーツクラブ「NAS聖蹟桜ケ丘」の屋内プール。地元の市立多摩第一小3年生の約100人が、5つのグループに分かれて水泳授業に臨んだ。
プールサイドに座ってバタ足の練習をしたり、クロールに挑戦したり。指導しているのは、学校の先生ではなく、施設の水泳教室の指導員だ。5つのグループに1人ずつ、児童のレベルに合わせて指導している。
「体をぴんと伸ばしてクロールの息継ぎができた。3年生のうちに、平泳ぎができるようになりたい」。男子児童が目を輝かせた。
雨で中止もない 先生の負担も軽減
多摩市は昨年度から、市立小全17校で、プール授業を校外の屋内温水プールで行っている。季節を問わず泳げるので、多摩第一小は5月に水泳授業を始めた。7月の夏休み前までに、全学年が予定の7時限すべて実施できた。
現在の3年生は、1年生時の授業は学校の屋外プールだった。女子児童は「外(のプール)は、雨が降ったら中止になるし、めちゃくちゃ暑い。ここはあまり暑くないし、中止にならないからいいです」と話す。
年々ひどくなる猛暑で、学校の屋外プールでの授業は、熱中症や紫外線による健康被害が心配。屋内ならそのリスクも軽減でき、荒天で中止の心配も少ない。
学校の先生は、水泳授業で水着は着ない。技術指導は施設の指導員に任せ、プールサイドから授業態度を注意し、安全に気を配り、上達度を確認する。
「学校プールでは、授業のたびに塩素濃度を測って、足りなければ補充する作業がありました。それがないのは大きい。休み時間にあわてて着替えなくてもいい。そのぶん、授業準備や子どもの指導に、時間を有効に使えます」と、3年生担任の畑彩花先生(28)は笑顔で話した。
木下雅雄校長(58)は「暑さ寒さに関係なく授業ができて、きめ細かく技術指導していただけて、子どもたちの泳力は高まっている。教員は、子どもたちに向き合う時間を、より確保できている」と効果を話した。
課題はアクセス 葛飾区は区立プール新設も計画中
利点の多い校外屋内温水プールでの授業だが、全小学校での実施例は少ない。課題はアクセスだ。学校から遠いと移動に時間が奪われ、授業が成り立たない。
多摩市には民間2、市立1の計3施設が市内にバランスよく配置されている。どの市立小からも徒歩か路線バスで通える。
葛飾区は、区内にある区立小49校のうち、試行を含め23校が校外プール授業を行う。区立と民間の計12施設を使うが、全校実施には足りない。そこで区は、学校が優先利用できる区立プールの新設を区内2カ所で計画中だ。
一方、世田谷区は区立小61校のうち、プール授業の校外実施は2校にとどまる。区教育委教育環境課の担当者は「環7も環8も渋滞が多くバス移動では時間がかかりすぎる。専用施設を造るにも、区の面積が広いので、複数校での共用が難しい」と話す。
スポーツ庁は、プール授業の校外実施の実態は把握していないが、屋内プールは増えている。同庁の2002年度と21年度の調査では、全国の小学校の屋外プールは、1万9338カ所から1万5648カ所に減少。学校や公共・民間を含む屋内プールは、4896カ所から5854カ所に増えた。
授業で使わなくなった学校プールをどうするかも課題だ。多摩市では、消防水利に指定されているので、今も水を張っている。市教委の担当者は「さまざまな検討が必要」と話した。
なるほど!
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私は元々夏の暑さが苦手であり、学生時代の猛暑を何とか耐えられたのは水泳部のお陰だと思っている。
それにしても、「温暖化の進行が社会に及ぼす影響は深刻であるなあ」と今更ながら感じる。
「○年に1度」の大雨もそうであるし、真冬の東京で霜柱を観察できなくなって久しい。私の小学生時代は「東京の年平均気温は15.0℃である」と地理の時間に覚えたが、今は16.6℃らしい。あまりの暑さに死の危険を感じるほどの毎日なのに、寒気がするデータである。
屋内プールが近くにあるのなら、記事のような取り組みが良い方法になるが、例えば隣の(海の無い)埼玉県はどうしているのだろうか。夏季は平日も午前中に止めて、授業そのものを減らしていくのが現実的な対応であるように思うがどうだろうか?エアコンを稼働させることで、室外の温度は逆に上昇する不都合な真実を忘れてはならない。そもそも現在の法定授業時数は多過ぎる(しかも根拠が薄弱)ので、全体も減らすべきである。