「熱中症と思ったらコロナだった」…感染症と熱中症の違いとは?〈森戸やすみのメディカル・トーク〉

(2023年8月15日付 東京新聞朝刊)

イラスト・永須華枝

「体が熱を出す」 「体が熱を逃がせない」

 夏休みも後半に入り、小児科外来の感染症大流行は落ち着いてきました。ほとんどの感染症は飛沫(ひまつ)感染するので、幼稚園や学校が夏休みになると、うつし合う機会が減ります。

 そのせいか「昨日は暑い中、遊んでいたから熱中症だと思います」という保護者がいます。診察をして検査した結果、新型コロナウイルス感染症だったり、溶連菌だったりすると、意外な顔をされます。感染症と熱中症はどこが違うのでしょうか。

 風邪を含む感染症は、体に病原微生物が入ることで起こり、体は対抗するために熱を出します。脳の温熱中枢で熱を上げているのです。一方、熱中症は、体の外から温められたり体内の熱が逃がせない状況になったりして、体温が高いままになってしまう状態です。

 感染症の場合は、自分で熱を上げているものの、つらいときには解熱剤を使います。ですが、ウイルスや細菌がまだ活発なときには体温は十分には下がりません。熱中症は体を冷やし、失われた水分と塩分を取らせると治ります(気を失う・けいれんするような熱中症は、それ以上の処置が必要なので救急車を呼んでください)。涼しい部屋にいても2日以上熱が続くなら熱中症ではないでしょう。

 熱が高い以外の症状がある場合は、感染症をまず考えます。喉の痛み、鼻水、せきなどは熱中症ではありません。

森戸やすみ(もりと・やすみ)

 小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)勤務などを経験。現在は都内で開業。「子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版社)、共著に「やさしい予防接種BOOK」(同)など、医療と育児をつなぐ著書多数。「祖父母手帳」(日本文芸社)も監修。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝えます。

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