ソプラノ歌手 辰巳真理恵さん これからも父・辰巳琢郎は「先輩」
父が有名人…子どものころは嫌だった
父は俳優の辰巳琢郎です。子どものころは父が有名人なので色眼鏡で見られ、「嫌だな」と思うことも多々ありました。でも、気が付いたら、同じ芸能界へ。それで、父のことがわかってきました。父は記憶力がよく、常にどっしりと構えて明るく前向きで、小さなことにクヨクヨしません。大好きなところです。
父も母も医療系の家です。父こそ「好きなことをやりたい」と医師になりませんでしたが、母は薬剤師の資格を持っています。外科医の父方の祖父から子どもの時に、おもちゃの聴診器をもらい、医師になるものだとばかり思っていました。ただ、歌ったり踊ったりが好きで、中学はコーラス部、高校はミュージカル部に所属しました。父はよく演劇やミュージカルに連れて行ってくれました。
「歌手になりたい」に母は大反対 父は…
高校2年の時、父が出演する宮本亜門さん演出のミュージカル「キャンディード」を見ました。衝撃でした。「あのヒロインのように歌いたい」と強くあこがれました。
医師から歌手へと方針転換です。でも、どうやって父母に話そうか。反対されるに決まっています。そうだ、機嫌がよく、ピリピリしていない夕食の時に話してみよう。
母は予想どおりに大反対。父はうーんと腕を組み、「俺も好きなことをしているからなあ。反対はできない。でも厳しい世界だから、音大に行って一からクラシックを勉強するという条件なら」と、認めてくれました。
女子会に突然登場!友人はみんな大喜び
音大在学中にコンサートやミュージカルに出演し始めました。父は私が出演するミュージカル、オペラなどは必ず見に来ます。新潟、富山の公演にも来たことがあります。
父は私のステージを見て、「他の出演者とかぶらないよう、立ち位置を考えて」「照明の中へもっと入れ」「メークがだめ」などと具体的にアドバイスしながら話し相手になってくれます。
父とはよくコミュニケーションが取れています。友人たちと夕食に女子会をしていると、父から「今どこ?」とメールが入ります。店の名前を返信すると「近くにいるから行く」。友人たちは皆「うそだあ」と。でも、本当に現れて皆は「うわあ、来た」と大喜び。気さくな父らしいですが、私も嫌ではありません。
9月に初めて出したCDに、友人が作詞作曲した「ありがとう」という曲を入れました。父への感謝の気持ちを曲にしてもらいました。でも、私は私。ステージに立ったら真剣勝負です。人々に感動を与え、愛される歌手でありたいです。
たつみ・まりえ
1987年10月大阪府生まれ。東京音楽大大学院修士課程声楽専攻独唱研究領域修了。ソプラノ歌手としてコンサート、オペラ、ミュージカルなど幅広く活動。今年9月発売のCD「バ・ベ・ビ・ボ・ブュ」でメジャーデビュー。来年3月都内で公演されるオペラ「ロメオとジュリエット」出演予定。詳細は公式ホームページで。
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