〈アディショナルタイム〉かけっこが速くなりたい! 為末大さんに学ぶ正しい走り方㊤
キーワードは「焼き鳥」と「マリオ」
「走り方を学ぼう!かけっこ教室」は11月下旬、東京都内のコナミスポーツクラブ本店で行われた。メディアに公開されたのは4~6歳の幼児向けクラス。30人の子どもたちが目を輝かせて為末さんの言葉を聞いた。
「今日はみんなと一緒にかけっこ教室をします。もう運動会は終わった? まだ? 終わってしまった人は来年の参考にしてくださーい」。為末さんの元気なあいさつで始まった指導は、優しく丁寧に行われていった。
最初に指摘したのは「姿勢」。為末さんは体育館の床にあおむけに寝るように促すと、こう話した。「スポーツで一番大切なことは姿勢。体を真っすぐにすること。今日はこれだけでもいいので、覚えて帰ってください」
走るときには、くるぶし、ひざ、腰、肩、耳が、一直線になっている状態が大事だという。「寝たまま8秒間我慢して、体が一直線になる感じをつかんで」。子どもが首をかしげると、「焼き鳥、食べたことある人~? 串が刺さって一直線だよね。自分が焼き鳥になったような感じになって!」とイメージしやすい言葉で誘導し、笑わせた。
次は練習。為末さんはスキップから始めた。リズミカルに跳ねるように指示すると、「次は片方のひざを90度上げた状態で、前に倒れるようにスキップしてみよう」。続いて「次は高く跳んで! スーパーマリオみたいに! 腕を大きく振ると、高く跳べるよ」と大きくスキップをするように呼び掛けた。
五輪選手も取り組むスキップの重要性
日本の短距離走者として初めて国際大会でメダルを獲得し、北京など3大会連続で五輪に出場した為末さんは今、評論や子どもたちへの陸上指導など、幅広く活動している。「走る哲学者」と呼ばれる理論派の為末さんはこんな面白い話をしてくれた。
「走るというのは、足が地面に着いている時間よりも、空中に浮いている時間の方が長い。だから、ジャンプの連続と考えてもらえればいい。そういう意味で、地面を踏んで跳ね返った力がそのまま走る力になる。スキップはすごく大事。スキップってオリンピックレベルでも(練習を)やるんです。スキップの速さは実際に走る速さと相関しますから」
それにしても、このかけっこ教室のわかりやすいこと。「焼き鳥」や「マリオ」なら、幼稚園児でも楽しく、実践できる。為末さんは言う。「足が遅いのではなく、みんな地面をうまく踏めていないだけ。それが分かれば、劇的に変わります」。次回の後編は、腕の振り方や親が手伝えること、してはいけないことなどをお届けしたい。
〈アディショナルタイム〉かけっこが速くなりたい! 為末大さんに学ぶ正しい走り方㊦
◇コナミスポーツクラブ「走り方を学ぼう!かけっこ教室」公式サイトはこちらです。
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