スマホからお手軽に! ゼロ歳児家庭の家事を無料サポート 江戸川区「よちよち応援隊」
加藤健太 (2019年3月10日付 東京新聞朝刊)
ゼロ歳児家庭がスマートフォンで手軽に家事支援を申し込める仕組みを、東京都江戸川区が4月から始める。新年度予算案に5400万円を盛り込んだ。保育サービスを使っていない全ての家庭が対象。接点を増やして児童虐待の予防につなげるねらいもあり、専門家は「家庭に入り込む訪問型の子育て支援は、親の不安を和らげる」と評価する。
掃除、病院の付き添い…14時間までOK
区によると、スマホからインターネット上で申し込めることや、全ての家庭を無料とした点は全国でも珍しいという。「よちよち応援隊」と名付けた。
区と提携する家事支援業者がゼロ歳児のいる家庭を訪問、食事の支度や掃除、買い物、病院の付き添いなどをする。子育て世帯の家事支援制度は他の自治体にもあるが、1回500円のように有料のケースが多い。世田谷区も無料で利用できるが上限は6時間まで。江戸川区は14時間までにした。
生後4カ月の長男がいる石田美希さん(34)は「忙しい義母に手助けを頼むのは申し訳ない。第三者なら割り切って頼める」と喜ぶ。担当者は「電話したり書類を出したりする手間がいらない。子どもが寝た隙に申し込める」とし、1年間で1000世帯の利用を見込む。
「早めの支援で、虐待の芽を摘む目的も」
こうした手厚い家事支援は「虐待の芽を摘む目的もある」と児童女性課の野口千佳子課長は明かす。区では、地域ボランティアがひとり親家庭などで料理をする「おうち食堂」を2017年から始めた。家庭に上がると、「子どもが朝から何も食べていない」「暖房がついていない」などの実態が見えたという。
「家庭に入るとさまざまな兆候が見えると感じた。虐待が起きてからの対症療法ではなく、早めの支援で根本から変えていきたい」と野口課長は話す。
子どもの虐待防止に詳しい花園大学の和田一郎准教授は「虐待や貧困が悪化するケースは親が孤立している場合が多い。欧米では、訪問型の子育て支援が親の不安を改善すると評価されている」と指摘。「全国に広がっていくのでは」と期待を込めた。
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